電源を入れると向かって右上にあるレンズ部のカバーが開き、2秒弱で撮影可能になる。
光学ファインダーはなく、液晶モニターは2.5インチの11万画素。基本機能はフルオートとシーンモード中心のシンプルなもので、ユーザーインタフェースは最近の初心者向けCOOLPIXに準じた構成となっている。
撮影時の操作は中央にOKボタンがある円形の十字キーとMENUボタンのみで、十字キーの上が発光モード、下がマクロ、左がセルフタイマーに割り当てられている。多くのデジカメで見られるディスプレイボタンはなく、ディスプレイの情報表示内容はセットアップのメニューから選択する仕組みだ。
円形十字キーの下には再生に関する2つのボタン、再生ボタンと削除ボタンがある。撮影時に再生ボタンを押すと再生モード、削除ボタンを押すと直前に撮影した画像を削除することができる。画面上で画像を見ながら失敗したものを削除するという使い方が多い人向けの構成である。
MENUを押すとメニューが表示されるが、基本的にフルオート系であり、変更できる項目も、画質や画像サイズ、ホワイトバランス、露出補正、ISO感度、そしてピクチャーカラー(標準、ビビッド、セピアなど)と限られている。
ニコン独自の機能として注目したいのは「BSS」。複数枚連写してもっともブレが少ないものを自動的に保存する機能だが、さらに連写した中で「白とび最小」「黒つぶれ最小」「ヒストグラム最良」のどれかを自動的に選んで保存してくれる「AE BSS」機能もある。ブラケット撮影をして後から選んだり露出補正を試行錯誤する代わりにカメラが選んであげましょうという機能と思えばいい。
手ブレお知らせ機能もニコンならではのものだ。COOLPIX S1は手ブレ補正機能はもたないが、手ブレお知らせ機能をオンにしておくと、撮影後に画像をチェックし、手ブレしていると判断されれば「手ブレしてますが保存しますか?」と尋ねてくれる。それでもいいと思えば保存すればいいし、「しまった、もっと気をつけて撮らねば」と思えば撮り直せばいいのだ。
特にCOOLPIX S1は撮影時にシャッタースピードが表示されないし、液晶モニターでは細かいブレを判断できないため、こういう機能は次善の策としてありがたい(もちろん最善の策は手ブレ補正機能の搭載や高感度での撮影機能、明るいレンズなど、多少暗くても手ブレしづらいようなカメラにすることだ)。
このように、マニュアル露出など細かい機能を用意してユーザーにセットさせるのではなく、ユーザーにはできるだけフルオートで、その分カメラ側がインテリジェントに対応しようという姿勢なのである。初心者向けフルオートデジカメの方向性としては非常に面白い。
操作系で気になったのは、いちいち撮影モードに戻さないと撮影できないということ。メニューを表示した状態から撮影するにはいったんMENUキーを押してメニューから抜けなければならず、再生モードから撮影するには再生ボタンを押して再生モードから抜けねばならない。ちなみに、他社のデジカメでは、シャッターボタンを半押しにすることで撮影モードに戻れるものが多い。例えば露出補正をしたい場合、COOLPIX S1では露出補正作業→メニュー→シャッターとなるが、半押しで撮影モードに戻れる機種では、露出補正作業→シャッターでいいのである。どちらがいいとは言い難いが、露出補正、ホワイトバランス変更などを撮影中によく行う人は後者の方が効率的だ。
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