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フルオートで楽しめる薄型大画面デジカメ「COOLPIX S1」レビュー(3/5 ページ)

» 2005年05月11日 21時14分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

COOLPIX独自の顔認識AFは使えるか

 COOLPIXならではのユニークなシーンモードにも注目だ。

シーンモードはアイコン表示で16種類+音声録音。一番上の業にある4つはアシスト付となっている。ここでズームキーのテレ側を押すとオンラインヘルプが表示される

 ポートレート、風景から逆光や水中まで全部で16個のシーンが用意されているが、ポートレート、風景、スポーツ、夜景の4つは撮影アシスト機能付き(アシスト付シーンモード)。特によく使うポートレートと風景は充実しており、画面上に構図の参考になるガイドラインが表示される。

人物モードの場合は、このようにアシストメニューが用意されている。左下が顔認識AF

 ポートレート時はニコンが2005年から採用し始めた「顔認識AF」機能も搭載。顔認識AFモードにするとカメラを人物に向けるだけで自動的に顔を認識し、シャッターを半押しにするとそこにピントが合うという技だ。

 いろいろ試してみたところ、さすがにうまくいく条件は限られるようだ。全身が入るような構図では顔が小さくなるので難しい。サングラスなどをしておらず、バストアップ以上の構図ならほぼ確実に、ウエストレベルでもかなりの確率で顔の位置に自動的に赤い矩形が表され、顔と認識したことを知らせてくれる。構図を変えてもしっかり赤い矩形は追従してくれるし、もちろん顔が中心にある必要はないので好きな構図で撮れる。

 同じような距離でも背景がベージュなど肌色に近いときや、裸のときはうまく顔を見つけられないようだ。万能ではないがコツをつかめば楽しめる機能だ。

再生モードでOKボタンを押すとD-ライティング機能が働く。このように背景が暗いとき、さらには逆光時など暗部だけを持ち上げたいときに使える

 また、再生時には「Dライティング機能」が使える。これは逆光時やフラッシュ撮影時の背景など光量が足りなくてアンダーな部分だけを持ち上げるもの。こういう機能はメニューの中に埋もれがちだが、COOLPIX S1は再生時にOKボタンを押すだけですぐ使える。Dライティング機能を施した画像は別画像として保存されるので元画像はそのままだ。

 その性格上、増感して撮った画像にDライティングを施すと暗部のノイズがかなり強く浮いてくるけれども、実用性はかなり高い。

大画面薄型デジカメのヒット作?

 それ以外の点も見ておこう。

メディアはSDメモリーカードで側面にスロットが用意されている
クレードルは下部が細くなって台に乗っているようなデザインでなかなかカッコいい。クレードル背面にDC端子とUSB端子(フルサイズ)が用意されており、充電やデータ転送に使う
バッテリーは底面に薄型のリチウムイオン充電池が。ACアダプタをダイレクトに接続するDCコネクタもある。厚さが2センチ以下の薄型デジカメでありながら、三脚穴はちゃんと用意されている

 記録メディアはSDメモリーカードでバッテリーは薄型のリチウムイオン充電池で3.7ボルトの730mAh。CIPA規格で約200枚の撮影ができる。製品にはクレードルが付属。クレードルを通して充電やデータの転送を行える。ACアダプタは直接本体に差すこともできるので、旅行時にはクレードルを持って行かなくてもOKだ。

 一見、デザインや質感に凝っただけの薄型大画面コンパクトのようだが、COOLPIXならではのさまざまな撮影機能を盛り込むことで個性的な製品に仕上がっている。

 画質面でも屈曲光学系薄型コンパクトにしてはかなり良い方。周辺部の収差はほとんど気にならないし、色も多少わざとらしく感じることはあるが、あっさり系の鮮やかさで濃すぎないのがよい。ISO50でも暗部のざらつきは気になるし、増感時も比較的素直にノイジーになっていくが、全体としては安定感があってフルオートで楽しめる写りだ。

 個人的には、ISOオート時にもうちょっと早めに増感して欲しい、手ブレの目安としてシャッタースピードは表示して欲しいなど細かい注文はつけたいが、屈曲光学系薄型コンパクトでは後発でありながら、デザインや質感では際だっており、価格もライバル機に比べれば安め。よって、ヒットデジカメになりそうである。

作例

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