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» 2008年06月11日 08時30分 UPDATE

麻倉怜士のデジタル閻魔帳:薄型テレビ、今夏のトレンド (1/4)

4年に一度のオリンピックイヤー。液晶やプラズマテレビを買いたい人も多いだろう。薄型テレビの“いま”を知り尽くした麻倉氏が今夏のトレンドを語る。

[渡邊宏,ITmedia]

 夏ボーナス商戦も本格化する6月。オリンピックイヤーの今年、いよいよ薄型テレビを購入したい、あるいは買い換えたいという人も多いだろう。ここ数年の価格低下で手の届きやすい存在とはなったものの、長くつきあう製品だけに、チョイスする際には価格と画面サイズはもちろん、さまざまな要素を勘案したいところだ。

 デジタル・メディア評論家 麻倉怜士氏の月イチ連載『麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」』。International CESやCEATEC JAPANなど、国内外の展示会はもとより、各メーカーへ積極的な取材を行い、大画面テレビの“いま”を誰よりも知り尽くした麻倉氏に、注目すべき薄型テレビのトレンドについて、話をうかがった。

――4年に一度のオリンピックヤーということもあり、薄型テレビを購入したい・買い換えたいという人も多いかと思います。ですが、ここに来て薄型テレビ全体が成熟しつつあり、製品ごとの差異が小さくなっているようにも感じます。

麻倉氏: 北京オリンピックを目前に各社から製品投入が相次いでいます。オリンピックに昔ほどの影響力はないと見る向きもありますが、放送局・メーカーからすれば大きなイベントであることにかわりはなく、力が入っています。製品レベルに目をやると、フルHDや倍速駆動などは定着してきているという印象です。

 しかし、詳細を確認してみると、細かな改良や将来への布石が見えます。

高画質化するプラズマテレビ

 まずは高画質化です。液晶は昨年冬から今春まで大きな変化はない印象を受けますが、プラズマは高画質化が進んでいます。その筆頭はパイオニアの「KURO」(PDP-6010HDなど)です。予備放電を低減することで漆黒を表現したKUROは登場時から究極的な画質と高い評価を得ましたが、1月のInternational CESでは予備放電自体が存在しない「究極のコントラストモデル」が示されました。このモデルのパネルは11世代に相当すると説明されましたので(PDP-6010HDらは第8世代)、登場は早くても2009年後半と目されています。

 先日発表された「KRP-600M」は究極のコントラストへの道程への一里とも呼べる存在です。高純度クリスタル層を用い、予備放電を可能な限り低減するという手法は既存製品と同様ですが、黒輝度は1/5に低減されており、コントラスト比は実に10万:1を実現します。“究極”とも表現された現行のKUROが並べて見ると液晶っぽく見えるほどです。

photo “KUROモニター”「KRP-600M」

 コントラスト比が高くなり黒の表現力が向上すると、次には階調性が求められるようになります。コントラスト比が300:1ならば8ビットの入力信号(256階調)に適合しますが、これが10万:1となれば理想的には階調は17ビット(13万10726階調)が求められます。高いコントラスト比を表現可能なディスプレイについては、暗部の階調をどのように作り出すかがポイントになるでしょう。黒の階調性にも注目したいところです。

 「KRP-600M」に話を戻すと、PDP-5000EXの例もありますので、パイオニアとしてはこれをベースとしたプラズマテレビを秋冬商戦に投入すると予想されます。ですが、高性能のプラズマディスプレイをモニターとして製品化したことには大きな意義があります。チューナーやスピーカーを備えたテレビはあくまでも従来のブラウン管テレビの延長線上にありますが、同社の伝統はパッケージを最高の画質で見せることですね。シアターシステムにおけるディスプレイという意味で「KRP-600M」を投入することは、同社にとっても大きな意味を持ちます。

 パイオニアとのプラズマに関する開発と生産供給に関する提携を結んだパナソニックですが、同社のプラズマも画質向上がみられます。まだパイオニアの画質技術は入っていませんが、最新の「PZ800」シリーズはコントラスト比も3万:1とKUROを上回っていますし、黒もより引き締まりました。技術的には電子の移動速度を高めるというパイオニアと同様の手法で高コントラスト比を実現していますが、技術的な基礎体力が上がったという印象です。

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