“熟成”超解像こそ盛りこまれなかったものの、Cell REGZAではCellプラットフォームを用いた超解像技術が採用されている。具体的には、まず従来の再構成法に加えて「自己合同性」を用いた処理を追加した。これは、「ある画像の近傍には、それと似た画像が存在するという性質を利用して、エッジ部の近傍にある似た信号を用い、元の画素の間にある信号を生成する」というもの。抽出した画素を画像の位相に合わせて重ね合わせることで、より正確に高解像の画像を生成できるという。
また、デジタル放送の映像変換で失われる色情報を復元する機能も実現した。「色の超解像」と呼ばれるこの機能は、輝度信号とともに色信号にも超解像処理を加えることで実現する。「デジタル放送のフォーマット変換により、色情報は輝度信号に比べて1/4になってしまう。自己合同性の色超解像処理では、色の解像度を2倍になり、色のキレが高まる。また画面全体の精細感も増す」(同社)。
もう1つの新しい機能は、「YouTube」などインターネット経由で配信された低解像度映像に対する「ネット超解像処理」だ。もともと解像度が低いことに加え、圧縮時のノイズが乗ることも多く、とくに大画面テレビに拡大表示することは難しい。しかしCell REGZAでは、受信画像に曲面モデル最適化方式と呼ばれる方法で圧縮ノイズを検出・分離。映像をクリアにしてから超解像処理を行うことで、より見やすい映像を再現するという。
YouTubeの動画を全画面表示に切り替えるとネット超解像処理がオン。ネットの動画を55V型の大画面で楽しめる。なお、Cell REGZAに搭載されているWebブラウザは、Opera Software ASAと共同開発したテレビ用Operaブラウザで、高速で精細(ドット・バイ・ドット)な表示が特徴。リモコンに搭載された静電式タッチパッドやUSBキーボードで文字入力も行えるなど、PCユーザーにも訴求できる仕様になっている。
さまざまな新機能を実現した「Cell REGZA」。店頭想定価格で100万円という値段はハードルが高いが、東芝では今後、Cell REGZAシリーズを2つの方向で拡張する計画を持っている。それは、4K2Kパネルの搭載やホームサーバ機能を搭載したハイクオリティー志向の製品と、ダウンサイジングした低価格化路線。CEATEC JAPANの同社ブースには、オールインワンタイプのCell REGZAや別体チューナーを進化させた「エンタメサーバーCell REGZA」を展示していた。HDDが外付けになる「オールインワンCell REGZA」は低価格化も期待できそうだ。
型番 | 55X1 |
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チューナー | 地上デジタル×11、BSデジタル/CS110度デジタル×3、アナログ地上波×1 |
入出力端子 | チューナー部:HDMI×5、D5×1、S2×1、コンポジット×3、光デジタル音声、HDMIアナログ音声入力、SDメモリーカードスロット、USB×3(汎用×1、録画専用×2)、LAN端子、モジュラー端子 モニター部:HDMI×1、D5×1、コンポジット×1、USB(サービス用)、ヘッドフォン端子 |
外形寸法 | チューナー部:436(幅)×387(奥行き)×109(高さ)ミリ モニター部:(スタンド込み):1333(幅)×402(奥行き)×963(高さ)ミリ |
重量 | チューナー部:10.5キログラム モニター部:44キログラム |
消費電力 | チューナー部:140ワット モニター部:320ワット |
年間消費電力量 | 324kWh/年 |
発売時期 | 12月上旬 |
価格 | オープンプライス(店頭予想価格は100万円前後) |
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