デジモノ家電を読み解くキーワード
「PCM」――近々ブレイク?のメモリ
DRAMとフラッシュメモリの「中間」
わたしたちが普段「メモリ」と呼ぶデバイスには、大きく分けて2つの種類があり、それぞれ一長一短の特性を持つ。もっとも広範囲に使用されているDRAM(Dynamic Random Access Memory)は、アクセス速度などパフォーマンスに優れるが、消費電力が多く電源が切れるとデータが消えてしまう(揮発性)。小型機器に採用例の多いNAND型フラッシュメモリは、電源が切断されてもデータは残る不揮発性で製造コストが低く、データの運搬に適しているが、パフォーマンスの点でDRAMに見劣りする。
そこでいま注目を集めているのが「相変化型メモリ」(Phase Change Memory:PCM)。製造コストの低さはNAND型フラッシュメモリに及ばないものの、DRAMに比べれば有利。読み取り速度はDRAMなみとされ、NAND型フラッシュメモリを大きく超える。書き換え寿命についても、NAND型フラッシュメモリよりはるかに上。DRAMとNAND型フラッシュメモリに譲る部分はあるが、両者の中間としての存在価値および需要は確かだ。
バランスのよさが利点
エンジニアがデジタルデバイスを設計するときには、性能とコストのバランスを重視する。そのバランスという観点から、PCMが注目される理由を考えてみよう。
1つは、パフォーマンスを大きく落とすことなく電力消費量削減を図れること。DRAMの代替としてPCMを採用すれば、20%前後の消費電力を削減できるともいわれることから、結果としてバッテリー寿命の向上に貢献する。
もう1つは、不揮発性の獲得。揮発性のDRAMは電源オフとともにデータは消えるが、PCMはフラッシュメモリ同様に電源オフ後もデータを保持できる。しかも、書き込み時のレイテンシはNAND型フラッシュメモリの100分の1程度と、パフォーマンス的にも有利だ。
PCMのもうひとつの強みとして、微細化が比較的容易ということが挙げられる。PCMの記憶素子に使われるカルコゲナイドは、熱を加えると抵抗レベルの異なる2種類の結晶構造のうち一方に変化し、その違いで0か1かを区別するため、原理的に微細化しやすい。
フラッシュメモリの置き換えはしばらく先
PCMが搭載されるデバイスだが、当面は携帯電話とスマートフォンが有力視されている。生産コストがNAND型フラッシュメモリに比べ高いため、代替が進むとすればNOR型フラッシュメモリ(NAND型に比べ高速なランダムアクセスが可能、ハイエンド向け)からで、市場の大きいNAND型フラッシュメモリはその次となることが予想される。いずれにせよ量産化は今年開始されたばかり、来年以降の動きに注目だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
ナッツを多く食べる人、認知テストで高成績の傾向 豪州チームが1700人以上を分析
-
2
アニメを支える外国人材に“逆風” 日本在住の声優・アニメーターが抱く「不安の正体」とは
-
3
J:COMネット障害、原因は「外部からの大量アクセス」 DNSサーバに高負荷 最大約408万件に影響
-
4
ドコモSMTBネット銀で障害 「着金しない」「給料日にやめて」と悲鳴【復旧】
-
5
Microsoft、「Copilot」を刷新 「仕事のための新しいOS」とナデラCEO
-
6
Google、リアルタイムで表情豊かに話すAIアバター「Gemini 3.8 Live with Live Avatar」提供開始 画像1枚で独自アバターも
-
7
パナソニックが市販カーナビ生産終了へ 30年以上の歴史に幕、スマホナビの普及など受け
-
8
顔面に電気を流すと記憶力アップ? あごにパッチ電極を貼り人間で実験、結果は……
-
9
「モンスト」キャラの声をAI生成、MIXIのニュース紹介企画に批判続出 実施見合わせへ
-
10
破産した全東信、未精算の売上金を加盟店に支払いへ JCBなど6社が協力 10月中にも
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR