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» 2010年12月22日 14時17分 UPDATE

デジモノ家電を読み解くキーワード:デジモノ家電に必須の装置「DAC」

ポータブルオーディオ、デジタルレコーダー、薄型テレビ……これらのデジモノ家電に共通の部品が「DAC」(Digital to Analog Converter)だ。今回は、DACの役割と種類、性能の見方について解説してみよう。

[海上忍,ITmedia]

DACの役割と性能の見方

 DAC(Digital to Analog Converter、D/Aコンバーター)は、「デジタル信号をアナログ信号に変換」するための機構。デジモノ家電におけるDACは、そこから転じてデジタルの映像または音声信号を、アナログ信号に変換する装置を指す。人間が理解できないデジタルの情報を目や耳で認識できる情報に変換する装置、と言い換えれば分かりやすいだろう。

 デジモノ家電におけるDACは、変換対象の情報により「映像DAC」と「音声DAC」の2種類に大別できる。それぞれ映像と音声のデジタル/アナログ変換に特化した回路を搭載し、演算速度の高さが性能に直結する点で共通している。

ts_hpamp02.jpgts_evergreen03.jpg 最近、注目を集めているUSBオーディオデバイス付きのヘッドフォンアンプでもDACの性能は重要。高級オーディオ機器の分野では単品のDACも人気だ

 映像/音声DACのいずれも、性能は「○○bit/○○○Hz」の形で表記される。映像DACの場合、ビット数は諧調表現の豊かさを、周波数(サンプリングレート、単位はHz)はきめ細さを表す。音声DACの場合は、ビット数の大きさが音量の細かさを、周波数は時間的な細かさだ。

 一般的に、DACの性能はビット数/周波数で説明され、数値の大きいほうが扱える情報量が多い、つまり高画質/高音質とされる。しかし比例してデータ量が増えるため、やみくもに数値の大きいほうが優れているわけではなく、DACの種類など性能とのバランスも重要になる。

ts_dac01.jpg DACにおけるビット数と周波数の概念図

マルチビットとノイズシェーピング

 現在主流の音声DACは、「マルチビット」と「1ビット」の2種類に大別される。大まかな傾向として、前者は高級機に、後者は普及機から高級機まで広く採用されている。

 マルチビット方式では、デジタルデータのビット数に応じて信号を割り当て、その合計をアナログ信号であるパルスの強弱として出力するしくみだ。しかし、ビット数が増えればそのぶん演算処理が増える、例えば16ビットのときには割り当てる信号が1から32768という広範囲におよぶため、高性能な演算装置が必要となる。

 一方の1ビット方式は、出力される信号は0と1のみだ。サンプリング周波数を数百倍した情報を動作単位時間とし、その時間軸でアナログ信号である振幅を表現する。マルチビット方式に比べて低い演算処理で済むものの、ジッター(時間軸のゆらぎ)に弱いほか、変換時に発生する量子化ノイズを可聴帯域外(20kHz以上)に追いやる「ノイズシェーピング」という処理を実施するため、高周波帯域にノイズが増えるデメリットがある。

 なお、現在の1ビットDACには、多段ノイズシェイピングを実施する「MASH」などいくつかの方式があるほか、可聴帯域は1ビットDACで処理するが高周波帯域はマルチビットDACで、というハイブリッド型も存在する。ノイズ低減とジッター対策に改良の余地はあるものの、製造コストの低い1ビットDACの高シェアは今後も続くだろう。

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