船井ブースでユニークなのは「FUNAI Tablet」と紹介されていたもので、Android 2.2がベースになった7インチタブレット製品の存在だ。これ自体は他社の汎用Androidタブレットと基本機能的には大差ないのだが、自社のスマートテレビと連携するための専用ハードウェアとソフトウェアが用意されている点が面白い。例えば汎用タブレットにはない、リモコン呼び出しボタンやSkype起動ボタン、十字キーなどが標準搭載されている。
リモコンボタンを押すとTVリモコンのための画面に切り替わり、Skypeボタンを押すと一発でSkypeが立ち上がる。さらに十字キーでメニューの選択が可能といった感じだ。こうした専用ボタンが用意されている理由として、タブレットをリモコンとして利用する場合、ユーザーは手元よりもTV画面のほうを確認する傾向があるからだ。タッチスクリーンではボタン表示の柔軟性がある反面、ボタンを触感で判断できないために手元を見ないと操作できない。そこで十字ボタンを用意することで、TV画面を見たまま操作が可能だというわけだ。またリモコン呼び出しやSkype起動のための専用ボタンがあるのも、“ほぼ”専用機器としての役割を重視したからだと思われる。
また専用ハードウェアとしてタブレットを設計したため、Skypeチャット用のフロントカメラが搭載されていたり、通常のTVリモコンとして利用できるよう赤外線出力がサポートされていたりと、非常にユニークな点がある。これにより、メーカーと製品名を指定することで汎用のマルチリモコンとして機能させることも可能だ。OS自体はAndroid 2.2であり、必ずしも最新プラットフォームとは言い難いが、今日提供されている多くのAndroidアプリは標準で動作する。
今後は2.3の「Gingerbread」のアップデートとともに、3.xの「Honeycomb」、4.xの「Ice Cream Sandwich」と順次最新バージョンをキャッチアップしていく意向とのことで、製品単体として見ても面白いものだといえるだろう。ちなみに、同型の製品が日本国内ではアイ・オー・データから「alimo」として発売されており、これは船井のOEMだ。まだ発売されて2カ月程度だが、順次フィードバックを受けてハードウェア含めて製品を改良していく予定だという。
このように、昨今のスマートテレビは「TV装置そのもの」だけでなく、周辺サービスの整備や周辺機器のリリースなど、1つのプラットフォームとして機能し始めている様子がうかがえる。とくにスマートフォンやタブレットとの連携、アプリの実行環境、そしてLogitechなどにみられる周辺機器メーカーの台頭など、リビングPCが実現できなかった「リビングルームのインテリジェント化」を少しずつながら実現しているように思える。IFAリポートでは引き続き、残りの大手メーカーを中心としたスマートテレビ戦略を追いかけていく予定だ。
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