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ネットとアプリで視聴者に魔法をかける? 「ハリー・ポッター祭り!」の挑戦本田雅一のTV Style

» 2013年03月18日 19時30分 公開
[ITmedia]

 前回の連載から少し時間が空いてしまったこともあり、今回は話を少しリセットしたい。続きを期待していてくれた方には申し訳ないが、高画質な最新テレビに関しては、そろそろ春モデルが出てくる頃。それを待ってから話をする方が、思い切って知っていることを書くことができる面もある。

「ハリー・ポッター祭り!」特設サイト

 さて、今月の話題だが、つい先日、日本テレビ放送網が発表した「2013年ぜんぶやります!ハリー・ポッター祭り!」について。発表については、ITmediaでも紹介されていると思うが、3月から今秋にかけて、ハリー・ポッターシリーズの映画を全作品放送するという(→関連記事)。番組の企画そのものはよくあるタイプで、要は「金曜ロードSHOW!」のプロモーションである。

 本連載とハリー・ポッターに、どんな関係があるのか? というと実は何もない。しかし、このプロジェクトにはとても興味深い側面がいくつかあり、それが放送とインターネットサービスを組み合わせた、新しい番組企画を考える上でのヒントを示しているように感じたのだ。

 ハリー・ポッターの映画シリーズは、誰もが楽しめるヒット映画ということで、ある程度の視聴率が見込める鉄板コンテンツということは、誰でも想像できる。問題は、あまりに放送期間が長くなるため、全8本を通しで見てもらうことがとても難しいという点。

 ”ハリー・ポッター祭りをやっている”ことを、約半年もの間、日テレが通し全作品を放送することを、視聴者に忘れずにいてもらうためにはどうするか? といったところで、自社広告(番宣)をずっと流し続けるわけにもいかない。

 ならば「特設のWebページを制作し、継続的にファンが集まれる場所にしよう」となりがちだが、果たしてテレビ番組のWebページに、視聴率をキープするための魔法の力があるか? というと、そこにはまったく期待ができない。

 なぜなら、頑張ってテレビ番組の公式ホームページのアクセス数を増やしたところで、全体の視聴者数と比べるとごく一部でしかないからだ。テレビで見た番組の内容を復習したり、出演者の情報などを得るために、放送後にアクセスするという人が大半。すなわち、すでに視聴者になっている人達への情報サービスという位置付けだ。

 そこで昨年来、民放各局が取り組んできたネットワークサービスとの連動機能が生きてくる。日テレの場合、データ放送の枠組みでウェブサービスとテレビを接続する「JoinTV」、コンテンツの盛り上がり方をモニターし、色々な人のテレビ番組関するつぶやきに出会える「wiz tv」といったアプリがあるが、これらや放送終了時の案内を行うことで公式ホームページに誘導。日本テレビは放送後に楽しめるトリビアクイズやプレゼント企画などを細かく企画し、SNSとも連動させていくことで、視聴者との関係を保つ工夫をしていくという。

ハリー・ポッターやハーマイオニーの魔法の杖レプリカ(各10名)やホグワーツのペーパークラフト(10名)が当たる視聴者プレゼントも用意した。詳細は「ハリー・ポッター祭り!」公式サイトを参照してほしい

 この取り組みが本当にうまく行くのか? という疑問も当然出てくるが、すでに1回目の放送は終了している。今後の展開についての予想や、消費者側にとっても利点や、ここから派生しての展開について、次回以降に話を進めていくことにしたい。

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