UD1シリーズのルックスは、狭ベゼル・タイプのシンプルなデザインで、好感が持てる。7〜8年前のサイドスピーカー・タイプの大型AQUOSなどをお持ちの方なら、UD1シリーズの導入で同じ設置場所に60V型、70V型を置けるチャンスが一気に広がるはずだ。
まず、さまざまなコンテンツで60V型と70V型で見比べてみた。画調はもちろんたいへんよく似ているが、ことコントラスト表現に限っていえば、画面が小さい有利さもあるのか、60V型がより好ましい印象だ。70V型の魅力は、やはりその大画面がもたらすインパクト。60V型は大きなテレビという感覚で観られるが、70V型になると、とたんに何か“非日常的な存在”で映像を眺めているという感覚が得られ、その受け取りかたの違いが自分自身非常に興味深かった。
60V型のLC-60UD1で、最近お気に入りの映画Blu-ray Disc「レ・ミゼラブル」や「ジャンゴ 繋がれざる者」(8月7日発売)を観てみた。部屋を全暗にし、「映画」「映画THX」の2つの映像モードを切替えながら見比べてみたが、なるほど「映画THX」に比べて「映画」モードのほうが、より記憶色に近い印象。「レ・ミゼラブル」でファンテーヌ役を熱演するアン・ハサウェイのスキントーンもよりビビッドで、存在が生々しく感じられる。また、バックライト制御の働かせ方が異なるのか、画面全体が暗くなるシーンでは、「映画」のほうがダイナミックに黒側に引き込むようで、いっそうメリハリが効く印象。モニター調の「映画THX」に比べて、「映画」は照度環境を整えた家庭で楽しむにふさわしい、よりエンターテインメント色の強い画質モードだということが分かった。
音量を上げていっても「レ・ミゼラブル」の学生蜂起シーンの大合唱などでも音がひずむことなく、それなりの分解能で聴かせる。声自体の響きにもあまり不自然さを感じさせないのも好印象だ。ただし、4Kテレビの最適視距離と言われる1.5H(画面高の1.5倍)の位置まで近づいてみると、音が下から聞こえる違和感をどうしても抱いてしまう。それゆえ、画面に映し出されている人物がしゃべっている、歌っているというイメージが得られにくくなるのである。もっとも、この4K高画質に見合う音をテレビ内蔵スピーカーに求めるのもお門違いだろう。このクラスの大画面高画質を実現したのなら、ぜひ良質なAVセンターとスピーカーを導入して、本格的なシアターサウンドを追求していただきたいと思う。
「ジャンゴ 繋がれざる者」は、35ミリ・フィルム撮影の4Kマスタリング作品。「レ・ミゼラブル」では、いまひとつ4Kアップコンバートの効果が判然としなかったが、本作では4Kテレビならではの高精細映像の魅力が満喫できた。ジャンゴが丘の上からお尋ね者のバコールを射殺する場面など、ロングショットで捉えられた畑や人物のディティール表現が素晴らしく、良質な4Kマスタリングを経たBD映画を4Kテレビで観る醍醐味を満喫した。こういう体験を重ねると、もうフルHDテレビには戻れないという気にもなるはずだ。
モスアイ・パネルの導入で明るい部屋でも映り込みの少ないキレのよい映像が楽しめ、なおかつ部屋を暗くしてモニター調の「映画THX」とよりエンターテインメント色の強い「映画」でBlu-ray Disc映画を4K高精細画質で楽しめる4K AQUOS「LC-60UD1」。ぜひ多くの方にその懐の深い表現力に触れていただきたいと思う。
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