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ソニーがテレビ事業を分社化、高付加価値戦略は加速

» 2014年02月06日 21時18分 公開
[ITmedia]

 ソニーは2月6日、エレクトロニクス事業の立て直しに向け、PC事業の譲渡とテレビ事業の子会社化を発表した。これまで、2012年4月に発表した変革プランを実施してきたが、PC事業、テレビ事業ともに目標としていた2013年度の黒字化達成は困難と判断した。

ソニーが1月のCESで発表した新ブラビア。広色域バックライトシステム「TRILUMINOS Display」に加え、新しいローカルディミング技術「X-tended Dynamic Range PRO」などを搭載している

 PC事業については日本産業パートナーズ(JIP)が設立する新会社への事業譲渡を決定し、3月末までの正式契約を目指す。これにより、ソニーが販売するVAIOは2014年春モデルが最後になる。

 一方のテレビ事業は、2011年11月に発表した収益改善プランに基づいてコスト圧縮に取り組んだ結果、2011年度に1475億円を計上した損失が2012年度には696億円まで縮小、さらに今年度は250億円程度まで圧縮できる見込みとなった。製品面でも、国内では4Kテレビで75%以上のシェアを獲得(昨年末時点、ソニー調べ)するなど、高付加価値路線へのシフトが成果を上げている。同社では、「この2年間の施策を通じて、テレビ事業の再生への道筋は見えてきている」として、追加の施策によって安定的に収益を上げられる体制作りを目指す。

 具体的には、来年度は広色域/高画質技術などを搭載した2Kを含め、高付加価値商品の販売構成比をさらに高める。成長を見込む新興国市場においては地域ごとの市場のニーズに適した機種を投入。さらにテレビ事業における経営の自立性を高めるため、7月をメドに事業を分社化、完全子会社として運営する方針だ。

 PC/テレビ事業の再編に伴い、これらを支える販売、製造、本社間接部門でも集中と選択を進める。まず販売会社については、アウトソーシングの推進などにより2015年度までに約20%の費用削減を実施。製造事業所は集約を進め、さらに本社機能や間接部門も2015年度までに約30%の費用削減に取り組む。これらの施策により、2014年度末までに約5000人(国内1500人、海外3500人)の人員減を見込んでいるという。

 同日発表された2014年3月期連結利益予想は下方修正され、1100億円の最終赤字を計上する見通し。昨年10月時点では300億円の黒字を予想していたが、スマートフォンやデバイス事業などが想定を下回ったほか、PC事業の売却とテレビ事業の分社化に伴う構造改革費用を新たに計上することなどが影響した。

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