ITmedia NEWS >

振動素子で低域を増強、低音をジョグダイヤルで調整――パイオニアのクラブミュージック向けヘッドフォン

» 2014年04月15日 21時49分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 パイオニアは、クラブミュージック向けヘッドフォンの新シリーズ「Superior Club Sound」(スーペリア クラブ サウンド)を立ち上げ、第1弾となる4機種を4月下旬に発売する。発表会であいさつに立った同社プロSV事業部CSV部長の百足敏治氏は、「ビートや低音の効いたクラブミュージックを聴くことを追求した最高級モデルだ」と新製品を紹介した。

新シリーズのロゴマークは、「途切れることなく繰り返されるクラブミュージックと音楽を通じてつながる人の輪を象徴する」という(左)。パイオニアの百足氏(右)

 世界のヘッドフォン市場は平均成長率106%前後で継続的に伸張しており、中でも国内市場では1万円以上の高級モデルが人気。パイオニアは中長期的にヘッドフォンの売上100億円(全世界)を目指し、自社の強みを生かした製品戦略の一環として新シリーズを企画したという。

 「パイオニアの強みは、世界中のトップDJやクラブに愛用されているDJ機器だ。クラブの設備機器にも進出してDJ業界では確固たるブランドポジションを確立している」(百足氏)。一方、世界中でEDM(Electronic Dance Music)のフェスが開催されるなど、クラブミュージックを好む人も増えている。同社ではクラブへ行く人たちが全世界に1億5000万人いると推定。「DJ機器ではカバーしきれないユーザー層、つまりクラブミュージックが好きな人たちに向けた製品を投入する」という。

パイオニアがDJ業界に持つ強みを生かし、クラブミュージック好きの人たちに訴求する

定番DJ用ヘッドフォンを改良? フラグシップモデル「SE-MX9」

 オーバーヘッド型は、「SE-MX9」と「SE-MX7」の2モデル。このうちフラグシップモデルに位置づけられる「SE-MX9」は、同社の定番DJヘッドフォン「HDJ-2000」をベースに再設計した50ミリ径ユニットを搭載している。「コンピューター解析とシミュレーションを繰り返し、振幅対称性の向上による低歪(ひずみ)化、低域感度の向上、そして広帯域再生を実現した」。HDJ-2000では中高域に若干のピークがあったが、今回は「中高域も暴れない”」。

「SE-MX9」は3カラー

 ハウジング部には小容積のチャンバー(空気室)を設け、外部の騒音に対する遮音性能をアップ。騒音を約3dB低減するという。これは「HDJ-1500」と同じ仕組みだ。

 カラーバリエーションは、「ブライトシルバー」「インディゴブラック」「ブライトカッパー」の3種類。質感を重視してハウジング部とハンガー部にはアルミ合金を使用した。またヘッドバンドには、スポーツ用メガネのフレームなどに使われる高耐久性素材、ポリアミド樹脂を採用。また頭部に触れるヘッドクッション部分にはシリコン素材、イヤーパッドには低反発ウレタンとレザータイプ素材を用いて装着時の安定性と快適さを追求している。

低域のボリュームをダイヤルで調整、デュアルドライバーの「SE-MX7」

 「SE-MX7」は、中高域用と低域用にそれぞれ40ミリ径振動板を用い、それを前後の同軸上に並べた2Wayモデルだ。迫力のある低域とクリアな中高域が特徴だという。

「SE-MX7」は4カラー。表面はラバー風のマット仕上げだ

 もう1つの特徴は、ハウジングトップにある大型ジョグダイヤルで低域をコントロールする「ADVANCED BASS LEVEL CONTROL」。ダイヤルを回すと無段階で抵抗値が変わり、低域の音圧が変化する仕組み。楽曲やそのときの気分に合わせて低音の出方を調節できるという。特許出願中だ。

デュアルドライバーは同軸上に配置

 外装はラバー風のマット仕上げ。上位モデルと同じポリアミド樹脂製ヘッドバンドとレザータイプイヤーパッドなどで装着感をアップした。

 コードは独自のロック機構を持つ着脱式。断面がカマボコ型の「D-Shapeコード」は、電線の導体断面積を増やして音声信号伝達時の抵抗を小さくするほか(従来モデル比で30%減)、よじれにくく絡みにくい形状だという。またコードの屈曲耐久性もプロ用DJヘッドフォンと同等になっている。

振動素子で低域を増強したカナル型イヤフォン

 インイヤー型の「SE-CX9」と「SE-CX8」は、フルレンジのドライバーに「BASS EXCITER」(バス・エキサイター)と呼ばれる振動素子を組み合わせるというユニークな構造をしている。ドライバーは「SE-CX9」がバランスド・アーマチュア型、「SE-CX8」は9.4ミリ径ダイナミック型となっている。

「SE-CX9」と「SE-CX8」(左)。「SE-CX9」はアルミハウジングに赤いラインでブランドロゴを描いた(右)

 BASS EXCITERは、板バネ状の振動素子を磁性流体で包み込んだ構造をしている。電圧が加わると振動し、ハウジングを介してイヤーチップの先端まで伝わる仕組み。空気を振動させる“音”はほとんど出さないが、耳の中に低周波数の振動が発生することで、人は低域を強く体感できるのだという。こちらも特許出願中だ。

コードは着脱式(左)。カマボコ型の「D-Shapeコード」を採用した(右)

 デザインは両モデル共通だが、上位機「SE-CX9」はハウジング部がアルミ合金となり、2度のアルマイト処理でブランドロゴマークを鮮やかに描いた。一方の「SE-CX8」は“メタル調”仕上げだ。なお、コードは着脱式で、カマボコ型の「D-Shapeコード」を採用している。

型番 SE-MX9 SE-MX7 SE-CX9 SE-CX8
形状 オーバーヘッド型 インナーイヤー型
再生周波数帯域 6〜4万Hz 6〜3万7000Hz 6〜2万5000Hz 4〜3万Hz
インピーダンス 32オーム 16オーム 20オーム 16オーム
音圧感度 106dB 102dB 101dB 102dB
最大入力(JEITA) 1200ミリワット 1000ミリワット 100ミリワット 100ミリワット
リモコン iOSデバイス対応マイク付きリモコン
実売想定価格(税別) 3万3000円前後 1万9000円前後 2万9000円前後 1万9000円前後
発売時期 4月下旬

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.