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20年ぶりのバーチカルツインは10年ぶりのピュアモルトスピーカーだった! パイオニア「S-PM50/PM30」登場

» 2016年12月05日 20時19分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 古くからのオーディオファンには懐かしい「バーチカルツイン」が約20年ぶりに復活する。パイオニアは12月5日、Hi-Fiスピーカーの新製品として、ブックシェルフ型の「S-PM50」(1台18万6000円)と、弟分にあたる「S-PM30」(1台9万5000円)を発表した。12月下旬に発売する予定だ。

「S-PM50」。S-PM50専用のスタンド「CP-50」(ペア8万2000円)も同時にリリース

 バーチカルツインとは、中央に置いたツイーターの上下をウーファーで挟むことで点音源を目指した“仮想同軸型方式”のこと。同軸型と同様、正確な音像定位と広い音場が特長で、1990年代にパイオニアはHi-Fiスピーカーのみならずホームシアター用のトールボーイスピーカーなどにも展開して人気を博した。

バーチカルツイン方式の概要

 ただし、バーチカルツインはもともとキャビネットも上下対称が基本。その意味でS-PM50/PM30は、復活と同時にバーチカルツイン本来の姿に戻った製品ともいえる。「点音源のため定位感が良く、シンプルなフィルター設計による正確な位相管理といったバーチカルツインのコンセプトはそのまま継承した。音源制作現場の雰囲気、空気感を再現する」(同社)

「S-PM50」(左)と「S-PM30」(右)

 またS-PM50/PM30は、久しぶりの「ピュアモルトスピーカー」でもある。ピュアモルトスピーカーは、サントリーとのコラボレーションにより、ウイスキーを熟成させる樽材をエンクロージャーに再利用したもの。樹齢100年を超えるホワイトオークで作られた樽は、50年以上にわたってウイスキーの熟成に使用されたことにより、「通常の集成材に比べて剛性は4倍、内部損失は2倍。余計な響きが残らない、スピーカーにとって理想的な材質」となる。

ウイスキーを熟成させる樽材をエンクロージャーに再利用
ピュアモルトスピーカーの特長

 パイオニアは、1998年のブックシェルフ型「S-PM1000」を皮切りに5つのピュアモルトスピーカーを発売したが、2006年の「S-A4spirit Vintage PureMalt」(型番:S-A4SPT-VP)を最後に新製品は登場していないため、こちらも約10年ぶりの復活となる。

 さらに最新技術も投入した。ツイーターの振動板はバイオマス素材のセルロースナノファイバーを混ぜ込んだもので、CAE(コンピューター解析)による「理想的な形状」と合わせ750〜4万Hzという広い周波数レンジをカバー。セルロースナノファイバーは、木材を原料とする繊維素材をナノレベルまで細かくし、鉄の5分の1程度の質量でありながら5倍の強度を持つというもの。オンキヨーブランドのスピーカーシステム「Scepter」(セプター)にも採用されている。

ウーファーユニットはアラミド繊維振動板を採用した13cmコーン型。ツイーターはセルロースナノファイバーを混ぜ込んだ振動板を採用した5cmコーン型だ
ツイーターの概要

 さらにツイーターの背後にはキャビネットと同じウイスキー樽材を使用したチャンバーを設け、ウーファーからの影響を抑えながら定在波を低減する。背面のダクトも積層したピュアモルト材から削り出したものだ。

 「バーチカルツインとピュアモルトのマッチングは初めて。S-PM50は(10年前の)S-A4spiritよりも大型で、バーチカルツインの特性をより引き出すことができた。パイオニアの叡智を結集したスピーカーだ」(同社)

S-PM50はバイワイヤリングに対応する
型番 S-PM50 S-PM30
型式 位相反転式、ブックシェルフ型
スピーカー構成 13cmコーン型ウーファー×2、5cmコーン型ツイーター 10cmコーン型ウーファー×2、5cmコーン型ツイーター
インピーダンス
最大入力 150W
出力音圧レベル 84dB 83dB
クロスオーバー周波数 750Hz
外形寸法(幅×高さ×奥行き) 237×435×344mm 190×357×277mm
重量 13kg 8kg
価格 18万6000円/1台 9万5000円/1台

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