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汚れにくく洗いやすい野菜室はいかが? さらに省エネになった三菱冷蔵庫

» 2017年07月19日 16時48分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 三菱電機が冷蔵庫「置けるスマート大容量」シリーズの新製品を発表しました。今回は、断熱材や冷却ユニットの改善による省エネ性能の向上、そして汚れにくく洗いやすくなった野菜室のトレイが特徴です。三菱電機静岡製作所の鈴木聡所長は、「冷蔵庫の大容量化に伴う心配事は電気代。省エネ性を向上させ、野菜室にも新提案を加えた、新しい価値を提供できる商品」と話しています。

新しい「置けるスマート大容量」シリーズ

 省エネの部分では、まず冷蔵庫の6つの面すべてに採用している真空断熱材を改良しました。同社は2012年に「SMART CUBE」(スマートキューブ)という断熱効率の高い真空断熱材を開発し、冷蔵庫の壁を薄くすることで庫内の大容量化を果たしましたが、今回は厚さをそのままに断熱効率をアップ。省エネにつなげています。

真空断熱材の進化

 具体的には、真空断熱材のガラス繊維を従来よりも細くすることで“接触抵抗”を増し、冷蔵庫の外部から伝わる熱を約10%低減しました。その効果を検証するため、従来品と新型の表面を同じように熱し、40°Cに到達するまでの時間を計測したところ、従来品が4.1時間だったのに対し、新型は5.2時間と1時間以上の差がついたそうです。

従来品と新型の表面を同じように熱し、40°Cに到達するまでの時間を計測した結果

 では、ガラス繊維をもっと細くすれば断熱効率はさらに上がるのでしょうか。「ガラス繊維を細くすれば接触抵抗は増しますが、細くして密度を上げると今度は真空のスペースが減って断熱効率が落ちてしまいます。新しい断熱材は、ガラス繊維を細くしたから断熱性能が上がったというより、『最適な太さにした』ということです」(同社)

 2つめのポイントは冷却ユニットの効率化です。冷蔵庫は、コンプレッサー(圧縮機)で高圧/低圧状態を作り、冷媒の液化/気化という状態変化を繰り返しています。冷媒は気化する際に周囲から熱を奪うため、そこを通過させた冷気を冷蔵庫内に循環させれば庫内が冷えるという仕組み。新製品では、冷却器の左右に「エアガイド」を設けて空気の流れを制御し、冷えやすい冷却器中央部への通風量を増やすことで冷却能力を向上させました。

 3つめのポイントは、コンプレッサーのオン/オフ時に生じる電力ロスの削減と庫内温度のきめ細かい制御を両立させた「NEW MICLOSS」(Mitsubishi Cycle Loss Saving System)という仕組みです。従来の冷蔵庫ではコンプレッサーが停止している間も冷媒が冷却器側に流れ込むため、圧力差が徐々になくなり、冷却器の温度が上昇してしまっていました。

 すると再びオンにしたとき、負荷がかかり電力ロスが発生します。そこで新製品では、冷媒の通路に制御弁を設け、コンプレッサーがオフのときは冷媒の流れを止めることを可能にしました。冷却器の温度上昇が抑えられ、運転を再開する際にも少ない電力で最冷却が可能になります。

「NEW MICLOSS」の概要

 また温度管理の方法も変更しています。これまではあらかじめ設定した上限温度に達すると冷気の吹き出しをはじめ、下限温度になると停止するスタイルでしたが、NEW MICLOSSでは目標温度を1つ設定し、センサーが温度の変化を常時チェックしてきめ細かく風量を調整します。無駄な冷やしすぎも抑制されるので、効率アップにつながるとしています。

 三菱電機では、新製品のうち売れ筋の517Lクラス「MR-WX52C」および600Lの「MR-WX60C」にNEW MICLOSSを搭載し、中でも517Lモデルは年間消費電力量で250kWh/年という「省エネナンバー1」を実現しました。ほかのモデルへの展開も期待したいところですが、「庫内容量などの条件によって効率化の方法は異なります。NEW MICLOSSでは、まずボリュームゾーンでもある500〜600Lクラスに適した仕組みを作った、ということです」(同社)

汚れにくく、洗いやすい野菜室

 もう1つ、注目のポイントがありました。それは野菜室の底に置かれた「クリーントレイ」。ハイブリッドナノコーティングを施し、抗菌作用に加えて汚れがつきにくくしています。

 ちょっとざらざらした表面は疎水性(水をはじく)のフッ素樹脂粒子と親水性のシリカ微粒子をナノレベルで配合したものをコーティングしており、「野菜の土汚れなど親水性の汚れ、調味料などの油が付いたときの疎水性の汚れ、そして野菜くずがくっつく静電気という3種類の汚れが付きにくくなっています」(同社)

左がハイブリッドナノコーティングを施したもの、右はコーティングなし

 実際にタマネギの皮のくずや調味料を入れ、トレイを斜めにすると効果がよく分かります。従来品ではあちこちにくずや調味料がくっついていますが、新製品はほとんど下に落ちます。もちろん液体の調味料なども含めてすべて落ちるわけではありませんが、その場合もトレイだけをシンクに持っていき、流水で洗い流せば良いそうです。中性洗剤などを使う必要はありません(むしろ使用しないことを推奨)。気になるのはハイブリッドナノコーティングの寿命ですが、家電の買い替えサイクルといわれる10年から12年の使用を前提に開発したと話していました。

野菜室。クリーントレイだけを取り出して水洗いできます

 新製品のうち、6つの扉を中央から開く「6ドアセンター開き」タイプには、ガラス面材を使って高級感を演出した「WXシリーズ」と鋼板面材の「JXシリーズ」があります。これに5ドア片開きの「Bシリーズ」を合わせ、3シリーズ8製品を8月30日から順次発売予定。価格はすぺてオープンプライスとなっています。

型番 定格内容積 実売想定価格(税別) 発売日
MR-WX70C 700L 43万円前後 8月30日
MR-WX60C 600L 38万円前後 8月30日
MR-WX52C 517L 34万円前後 8月30日
MR-WX47C 470L 33万円前後 8月30日
MR-WX47LC 470L 33万円前後 8月30日
MR-JX60C 600L 34万円前後 9月15日
MR-JX52C 517L 32万円前後 9月15日
MR-B46C 455L 27万円前後 9月15日

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