4つ目は、ヘルスケア事業を手がける米プロテクスデジタルヘルスが取り組む「生体情報の収集・分析・管理」の仕組みである。
このシステムは、銀紙のようなセンサーを“薬剤そのもの”に載せ、そのセンサーが体内で溶けるときに発する微弱な電波を、体の一部に張っておくパッチでとらえ、クラウドへ送信して分析処理するというものだ。慢性疾患管理や投薬反応をはじめ、今後の創薬などにも効果が期待されている。
この事例は、日本オラクルの杉原博茂社長が「富士通フォーラム2014」(2014年5月)で、米国本社の最新導入事例として披露したもの。オラクルの米国本社ではこの事例において、クラウド基盤をはじめとして全体の仕組みを支援しているという。薬剤にセンサーを実装するというのが、これまでなかったユニークな取り組みである。
5つ目は、異常気象によって頻発する「局地的集中豪雨を素早く感知する仕組み」である。
地域の気象予報には気象庁の「地域気象観測システム」(通称:アメダス)が活用されているが、全国約1300カ所の観測拠点を持つアメダスでも局地的な集中豪雨(ゲリラ豪雨)は予測しにくい。
そこで、関連分野で研究が進められているのが、車のワイパーにセンサーを装着し、その状況をクラウドで自動的に集約するで局地的集中豪雨の情報を迅速に把握し、発信しようという仕組みだ。局地的集中豪雨をいち早く感知するため、まさにその場にいるクルマをセンサーにしてしまう発想がユニークである。
ビッグデータの活用は、“意味が広すぎて理解しにくい”という声もあるが、こうしてみると、新たな発想のポイントは「組み合わせの妙」にありそうだ。今後もその視点でビッグデータ活用の動きに注目しておきたい。
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