「楽曲の価格が人気に応じて決まり、人気がないころから応援してきたファンにもお金が入る」――そんな仕組みの音楽配信&SNSサイト「Amie Street Japan」がこのほどオープンした。
米国の音楽配信サービス「Amie Street」の日本版で、インディーズアーティストが自分の楽曲をアップロードして販売できる。価格は最初は0円だが、ダウンロード数に応じて200円まで上昇。アーティストは売り上げの6割がもらえる。ファンがお気に入り楽曲を登録・レビューする「REC」機能があり、「RECした」楽曲の価格が上がればファンは差額を受け取れる。
アーティスト登録は誰でも可能。MP3形式でオリジナル楽曲ファイルをアップロードすれば販売できる。アーティストが日本音楽著作権協会(JASRAC)に著作権管理を委託している楽曲は、エイミーストリートジャパンがJASRACに一括で著作権利用料を支払う。
一般ユーザーが「REC」でお金を受け取れる額は、RECしたタイミングによって異なる。価格0円の時にRECした楽曲が200円になれば200円分、1円以上の時に「REC」すれば、購入時との差額の半分がもらえる。つまり、0円など人気がない時に“発掘”してRECしておけば、人気が出た時により大きなリターンが期待できるというわけだ。
RECの権利は、ユーザー登録時に1つもらえるほか、サイト内で使える電子マネーをチャージすれば増えていく。1000円なら4回、5000円なら30回分REC可能。チャージはクレジットカードかBitCashで行う。
RECした楽曲の価格が上がれば、電子マネーと同額の「ポイント」がもらえる。ポイントは電子マネーと異なり、減ることはないため、合計ポイントを見ればそのユーザーがどれだけ“アーティスト発掘センス”があったかも分かる仕掛けだ。米国版にはポイントが2万以上という「発掘の達人」もいるという。
SNS機能では、アーティストにメッセージを送ったり、ファン登録したりしてコミュニケーションできる。似た好みのユーザーを友達登録し、そのユーザーのRECをマイページに表示させる――といったことも可能だ。
楽曲の価格が上がればアーティストの収入が増え、モチベーションアップにつながる。ファンはブレイク前のアーティストをサイトで“発掘する”楽しみが味わえる。「人気が出ればお金がもらえる。自然だがユニーク」と、運営元・エイミーストリートジャパンの松田未央社長は話す。
米国で正式サービスが始まったのは今年7月。松田社長は「アーティストの人気が出てサービスが盛り上がるのを見て、日本の音楽好きにも通じるものがあると思った」という。
米国版には4000組以上のアーティストが参加。日本版は75組で、そのうち65組は米国版にも登録していたアーティストだ。日本版では今後、米国版との連携も行っていく計画だ。
ちなみに松田社長のおすすめはアマンダ・カレスキーさん。米国版ではRECレビューが122あり、楽曲の再生回数は1万2379回。MTVなどにも出演しているという。
カレスキーさんはMySpaceでも活動しているが、MySpaceには楽曲を販売するシステムがない。MySpaceは自己表現、Amie Streetは楽曲販売――と使い分けているようだ。
エイミーストリートジャパンは、ターボリナックスの子会社だ。「ターボリナックスにはオープンソースの知識がある。これからはOSやソリューションなどをどう売るかだけではなく、オープンソースの技術と運用ノウハウをいかしたいと」という。
サービスの収益は主に楽曲の販売から得ており、日米ともに、外部の広告をほとんど掲載していない。日本のサイト上部にはバナー広告を掲載する枠があるが、Amie Streetのアーティストを紹介するバナーが貼られている。
松田社長は「広告を入れることもあるかもしれない」としつつも、「Amie Streetはアーティストを応援する場。広告を入れたほうが収益が上がるかもしれないが、今はバナー枠を使ってアーティストを紹介し、サービスを循環させていきたい」と話す。
今後は、サイトの説明文や検索の仕方などを改善していく。「ユーザーのフィードバックを受けて、日本人が使いやすいように変えていく。プレイリストを作れる機能が欲しいという要望が多いので実現したい」
「音楽だけで終わるつもりはない」とも話す。「ダウンロードできるものであれば、何でも取り入れていきたい。例えばAmie Streetで、動画や漫画、ケータイ小説などを配信できれば」
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