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» 2008年04月03日 15時49分 UPDATE

「コピーはDRMで管理、補償金縮小」で合意目指す 録音録画小委員会スタート

「私的録音録画小委員会」の今期第1回会合が開かれた。「DRMの普及を前提に、録音録画補償金を縮小していく」という方向で議論を続けていくことで合意。早ければ5月中に方向性を決め、8月までに報告書をまとめて法改正を目指す。

[岡田有花,ITmedia]
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 文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」の今期(第8期)第1回会合が4月3日に開かれた。前期に引き続き、「DRMの普及を前提に、録音録画補償金を縮小していく」という方向で議論を進めることで合意。早ければ5月中に方向性を決め、8月にも報告書をまとめて早期の法改正を目指す。

 前期の小委員会では、違法複製物からの複製(ダウンロード)を、著作権法第30条の適用範囲から外して違法とすべき、という、いわゆる「ダウンロード違法化」も議論してきた。これについては前期の中間整理の段階で「違法とすべきという意見が大勢であった」という方向性が固まっている。

 ダウンロード違法化については一定の方向性を得たとし、今後の議論では中心的には扱わない方針。今期は補償金制度のあり方について具体的に詰め、ダウンロード違法化と合わせた法改正を目指していく。

「DRM普及すれば補償金を縮小」の方向で合意目指す

 今期の主査は前期に引き続き、元東京大学教授の中山信弘さん(西村あさひ法律事務所顧問)が務め、委員の顔ぶれも変わらない。音楽・ITジャーナリストの津田大介さんや、主婦連合会副常任委員の河村真紀子さん、実演家著作隣接権センター運営委員の椎名和夫さん、電子情報技術産業協会(JEITA)著作権専門委員会委員長の亀井正博さんなどが委員を務める。

 今期は、文化庁が1月17日に提示した案をベースに議論を進めていく。提案は、「DRMによってコンテンツの複製回数を完全にコントロールできれば、補償金は不要になる」という前提に立ち、著作権法30条2項に定めた補償金制度を順次縮小していく――という内容だ。

 これまで一貫して補償金制度の維持を主張してきた権利者側に大幅な譲歩を迫る内容で、各委員は所属する著作権団体などに持ち帰り、提案について具体的に議論してきた。文化庁の川瀬真・著作物流通推進室長は「権利者団体など関係者とも話し合ったが、この方向にノーという人はいなかった」と話す。

 ただ「1月17日の提案はあくまでアバウトな枠組みで、具体的な制度設計には踏み込んでいない。『こういうケースはどうなるのか』などといった質問も多数受けた」(川瀬室長)という。提案では例えば「音楽CDからの録音や、デジタル放送の録画については、当面は補償金でカバーすることを検討する」としているが、補償金の徴収対象機器をPCやiPodに広げるかどうかや、支払い義務者を誰にするかなどについてなどは明確にしていない。

 文化庁は、5月8日に開く第2回の会合で、詳細を詰めた提案書を提出し、議論していく方針。関係者の合意が得られれば、5月29日に開く第3回会合で方向性を固め、「6月1日のダビング10開始を気持ちよく迎えたい」(川瀬室長)としている。

 その後も議論が円滑に進めば、7月の終わりか8月までに報告書をまとめ、「ダウンロード違法化」とあわせて法案を作って国会に提出し、早期の法改正を目指す。

「違法ダウンロードが市場を広げる可能性も視野に入れて」と野原委員

 この日の小委員会では、補償金に関連する最新動向として、日本レコード協会が昨年12月に公表した違法着うたに関する調査と、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)などが昨年12月に公表した、P2Pファイル交換ソフトに関するアンケート調査結果が紹介された。

 違法着うたに関する調査では、「違法サイトの利用によって有料サイトの利用が減ったという人が前回調査から増えた」「CDの購入も、違法サイトの利用によって減ったという人が増加した」という結果が出ていた。

 イプシ・マーケティング研究所社長の野原佐和子委員は「無料で着うたをダウンロードしているユーザーは10代が多いが、10代はもともと可処分所得が少ない層。有料サイトから購入経験がない人が、無料サイトからダウンロードしたなら、『なかった市場が起きている』とも言える。ユーザーは、便利なサイトがあったから使ったというだけで、悪いことをしようと思っているのではないだろう。すべてを『違法』と悪者扱いするのではなく、広告モデルで成り立たせる、といったことも考えてほしい」と指摘する。

 P2Pファイル交換ソフトに関する調査は、「ユーザーが増え、違法コンテンツの流通が増えている」という結果を中心に紹介された。河村委員は調査結果を詳細に読み、「ファイル交換ソフトを利用したことがない人が75.9%いる」という事実を指摘。「ファイル交換ソフトの認知率が上がっているのに、利用が下がっているということは、何かを物語っているのでは」と話し、「ファイル交換ソフトの利用率が高まっていて問題だ」という一面的なとらえ方にくぎを刺した。

 レコード協会が認定した楽曲配信サイトに付ける“適法マーク”「Lマーク」の状況についても報告があり、すでに約130の配信事業者がマーク表示に対応したという。ただ、iTunes Storeは未実装。レコード協会の担当者は「趣旨は同意しているが実装方法について調整中。早晩、付けてもらう」と話した。

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