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» 2008年07月25日 17時44分 UPDATE

Microsoftは重要ではない?

コンピュータ業界の大手企業についてどう思っているか聞かれたMySQLアーキテクチャディレクターは、Microsoftは重要でないと答えた。

[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 米Microsoftは重要ではないのだろうか?

 米Sun MicrosystemsのMySQLアーキテクチャディレクター、ブライアン・エイカー氏はO'Reilly Open Source Convention(OSCON)開幕日の7月23日、基調講演の質疑応答セッションで、Microsoftをこのように表した。

 このコメントは、O'Reilly Mediaのティム・オライリーCEOの質問に対するもの。オライリー氏はエイカー氏とMySQL創設者でMySQLサーバを作ったマイケル・“モンティ”・ウィデニウス氏に対し、コンピュータ業界の大手企業数社についてどう思っているかを尋ねた。Microsoftに話が及んだときに、エイカー氏は「Microsoftは重要ではない」と答えた。

 オライリー氏はその答えにくすくすと笑って、会場のMicrosoft関係者に軽く謝った。なにしろMicrosoftは今年のOSCONの最大級のDiamond Sponsorだ。

 エイカー氏のコメントは特定の状況で出たものであって、同氏に詳しく説明する機会はなかった。おそらく同氏は、オープンソースに関して言えば、Microsoftは重要ではないと言いたかったのだろう。だが知的財産、ユーザー基盤、インストールベース、株主、時価総額などの力で、Microsoftは依然、今日の業界において明らかに重要だ。もっとも、多数のMicrosoftのライバルが、同社を重要でない存在にしたがっているのは明白だが。

 6カ月前にMySQLを買収したSunでWeb技術ディレクターを務めるティム・ブレイ氏も、eWEEKがエイカー氏のコメントについて尋ねると含み笑いを浮かべた。ブレイ氏は、Sunは長い間Microsoft、Windows、.NET環境との相互運用を推進してきた――今後もそうし続ける――し、両社は以前からこの件で協力していると語った。

 「重要でないということはない。当社はMicrosoftと協力しなければならない」と同氏。「非常に多くの顧客がそれを望んでいる」。さらに全体的なビジネスの潮流に加え、訴訟、和解、同意審決も影響してきた。

 わたしは2004年の話を思い出した。週末にSunのオフィスで働いていたSunの社員が、廊下でビル・ゲイツ氏と出くわしたというエピソードだ。両社は問題解決に取り組み始めており、ゲイツ氏は、Sunのグレッグ・パパドポラスCTO(最高技術責任者)の要請でシリコンバレーに来ていた。このとき、MicrosoftはSunに20億ドルを払ったことも覚えている。

 両社は必要とあらば協力してきた。ブレイ氏は、Microsoftは依然として業界において重要だと言うが、かつてほど恐ろしい企業ではない。「Microsoftはかつて、エキサイティングで業界の注目を集めることをやっていた。ここしばらくはそういうことをやっていない」と同氏は語る。「わたしにとってはかつてほどの脅威ではない」

 一部は意図的なものかもしれない。Microsoftが屈しているわけではなく。同社のサム・ラムジ氏の部門では、Microsoftをオープンソース技術などほかの環境と協調させる作業を担当している。

 ラムジ氏は7月25日にOSCONで基調講演を行う。同氏の経歴は以下の通り。

 サム・ラムジは、Windowsサーバ&ツール部門の長期戦略計画など、Microsoft全体にわたるプラットフォーム戦略を率いるプラットフォーム戦略上級ディレクター。主な役割はMicrosoftのLinux・オープンソース戦略を推進し、Microsoftの技術開発チームおよびオープンソースコミュニティーと協力して相互運用可能なソリューションを構築すること」

 eWEEKの取材に応え、ラムジ氏はブレイ氏と同じ問題を多く挙げた。それはMicrosoftがSun、Novell、IBMなどと共に行っている相互運用性の取り組みや、Microsoftのシェアードソースライセンスやより自由なライセンス、ラムジ氏のラボが行ってきたこと、Eclipse Foundationとの協力、OSI(Open Source Initiative)ライセンス承認の取得、Codeplexでのオープンソースプロジェクト支援などの取り組みだ。

 さらに、Microsoftの人材雇用は、「オープンな」精神の人材への動きを反映してきた。例えば、Castle Projectの創設者ハミルトン・ベリッシモ・デ・オリベイラ氏は最近、MicrosoftのMEF(Managed Extensibility Framework)チームのプロジェクトマネジャーになることを明らかにした。MEFは開発者に、既存のコードへの影響を抑えつつアプリケーションに容易に拡張性を加えるツールを提供する。Castle Projectは、エンタープライズアプリケーションやWebアプリケーションの開発を簡略化することを目指した.NET向けオープンソースプロジェクト。ともかく、ベリッシモ・デ・オリベイラ氏はオープンソースあるいはオープンソースに近しい世界から、最近あるいは少し前にMicrosoft入りした人々の1人になった。MicrosoftのIronRubyとIronPythonをそれぞれ率いるジョン・ラム氏とジム・ハガニン氏もそうだ。

 ラムジ氏は、MicrosoftがLinuxやオープンソースの経験を持つ人の雇用を増やしていることを認めた。「わたしは人種のるつぼオークランドで育った」と同氏。「このようなことを成功させるにはいろいろなものが必要で、われわれはそれを理解している」

 オープンソースコミュニティーにおけるMicrosoftのこれまでの取り組みをどう表すか、それは「小さな歩み」だと思うかと尋ねたところ、ラムジ氏は「フットボールで言えば、われわれは30ヤードラインにいる」と答えた。どちら側の30ヤードラインかと問えば、「これから70ヤード進まなければならない」と同氏は話した。

 Microsoftは実際、前進するにつれて学んでいる。最近では、同社はオープンソースプロジェクト「Sandcastle」を自社のコミュニティーサイトCodeplexから引き上げたが、その後復活させなければならなかった。

 もしもMicrosoftが自陣側の30ヤードラインにいるとしたら、われわれはエンドゾーンに何があるのか、そこに至るために同社がどんな「ディフェンス」をくぐり抜けなければならないのかを理解しなければならないだろう。

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