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» 2008年09月17日 21時05分 UPDATE

端末が売れない時代のケータイビジネスは au「冬商戦も2割減」

「夏商戦の端末販売数は、前年の7〜8割だった」とKDDIの小野寺社長。冬商戦の販売台数も前年の8割程度を見込んでおり、飽和市場での成長戦略構築が急務になってきた

[岡田有花,ITmedia]
画像 小野寺社長

 携帯電話の端末販売数が減少している。「夏商戦の端末販売数は、前年の7〜8割だった」――KDDIの小野寺正社長は9月17日に開いた定例会見でこう打ち明け、冬商戦の販売台数も「前年の8割程度」を想定する。

 端末を低価格に抑え、その分を月額料金に上乗せして回収する従来の「販売奨励金モデル」から、端末価格と月額料金を切り離した「分離プラン」への移行が進み、端末価格が上昇して買い控えが起きている。市場の飽和もあいまって買い換えサイクルが長期化し、端末販売数に響いている。

 同社は、個人向けの2台目需要を喚起し、法人市場も開拓。多様化するニーズにきめ細かく対応できる体制を築くなど、飽和市場での成長戦略を模索する。

「ソフトバンクが引き金だった」

 「auらしさが失われていた」――小野寺社長は4月の決算会見でこう話していた。auはかつて純増1位を独走し、個性的な端末が話題を呼んでいたが、話題性や純増数ではここ最近、ソフトバンクモバイルにお株を奪われていた。

 「原因はいろいろと分析している。新しい取り組みは他社に遅れてはいないと自負しているが、端末の魅力が必ずしも過去ほどではなくなっていた。秋冬モデルはかなりいい端末が出せると思う」と小野寺社長は述べる。

画像 純増数の推移

 ただ「純増数だけで判断していいかは疑問」と指摘する。「ARPU(加入者1人当たりの売上高)の低い客を取ることに経営的な意味はあるのか。ただマスコミなどは純増数で判断するから、回線数と利益面のバランスを取っていかないといけない」

 競争環境の変化をもたらした要因として「ソフトバンクのホワイトプランとスーパーボーナスが大きな引き金。分離プランの問題もある」と小野寺社長は振り返る。

 分離プラン導入以降、各社とも端末販売数が減少している。「分離プランを導入すればこういう結果になることは当初の想定通り。良かったかどうかの評価はこれからだが、メーカーも販売店もしんどくなった」

多品種少量生産の時代に、「ナカチェン」「フルチェン」で勝負

 携帯電話の市場が、大量生産・大量消費から多品種少量生産に変わりつつあるとも指摘する。「どんなマーケットでもそうだが、最初はマスプロダクションで価格が下がり、その後マーケットがセグメント化して少量多品種生産になる。かつては1機種が100万台売れていったが、今はそれを期待しては間違い。携帯業界でもセグメント化が始まりつつある」

 この時代に対応するのが「フルチェン」「ナカチェン」だという。フルチェンは、端末のパネルやバッテリーカバー、ダイヤルキーまでカスタマイズでき、ナカチェンはメニューをカスタマイズできる。それぞれauショップに来店してサービスを受ける。

 他社とのコラボレーションも展開しており、北海道日本ハムファイターズとの連携したナカチェンモデル「ファイターズケータイ」を12日に発表したほか、3000台限定で発売したフルチェンモデル「サザンケータイ」は「とんでもない数の応募があった」という。

 フルチェンやナカチェンでニッチなニーズにも応えながら、auショップへの来店も促進。多様化した顧客に窓口で対応する。

 「ニーズや客層が多様化し、待ち受け画面などを自分でセットできる人とそうでない人が出てきている。例えばPCを購入した際、すべて自分でセットアップする人もいれば、家に出向いてセットアップするサービスもある。携帯もそういう時代に来ている」

 個人向けの2台目需要も喚起していきたいという。「携帯電話も時計や眼鏡のようにファッション化していく。そうすると1台では足りなくなる。iPhoneもファッションだろう」

 Googleの携帯電話向けプラットフォーム「Android」も、多様化するニーズに対応する選択肢の1つという考え方だ。「Androidは携帯のオープン化に1つの方向性を示したと思うが、すべてがそれでうまくいくとは思っていない。当社の全端末に載るわけではないし、標準になるとは思っていない」

スマートフォンは大企業向け 中小企業は省機能端末で

 個人向け市場が飽和する中、法人向け契約数を増やすことも成長のカギになる。同社は来春、法人向けにスマートフォンを投入する計画。ソリューションとセットにして大企業向けに販売する計画だ(iPhone不振は「想定内」とKDDI小野寺社長 「スマートフォンよりケータイの方が使いやすい」)。

 ただ中小企業では「使われているのは音声通話だけ」で、「前の世代の端末を安く提供している状態」という。各社の料金競争も激しく「むちゃくちゃな価格競争。端末タダは当たり前の乱売合戦になっている」という。

 中小企業向けに音声通話に特化した低価格端末を開発するという選択肢も検討しているが「受けるかどうかつかみかねている」とし、具体的な開発計画はないとした。

 会見での一問一答は以下の通り。

――イー・モバイルが回線とセットで「Eee PC」を100円で購入できるプランを出した。携帯電話の販売奨励金モデルに似ている。

 販売奨励金モデルはこれまで各社がやってきたことで、新しくはない。iPhoneもそうだ。ただ、こういうものに対して、販売奨励金モデルを批判してきた方々が何もおっしゃらないのが不思議だ。

――総務省がauのネットサービスなどでたびたび障害が起きているとし、KDDIに行政指導した

 ご迷惑をおかけして申し訳ない。障害は複数回起きているが、原因はすべて別。1つのベンダーからシステムを購入しても、その中のソフトに他社製ソフトが入っていて、インタフェースの部分でトラブルが起きている。ベンダーと一緒に解決していかなくてはならない。改善策は検討中だ。

――1台の携帯で2つの電話番号が利用できるサービスを、NTTドコモやソフトバンクが提供している。

 ビジネス向けと個人向け番号を使い分けるという発想だろうが、本当に必要なのか。セキュリティ面や会社で端末をアップデートする際の利便性を考えると、別の端末のほうがいいのではないか。

――固定系サービスの状況は。

 2010年に黒字化する目標は変わっていない。NTT東西はフレッツ光契約者が1000万を突破したと発表したが、6000万あった固定電話回線のうちたった1000万しかFTTHに移っていない。

 FTTH化が進まない最大の要因は、FTTHでないと受けられないサービスが明確ではないこと。そういったサービスを投入すれば、伸びのスピードが変わるだろう。悲観はしていない。

――景気後退の携帯ビジネスへの影響は。

 直接的にはほとんどない。過去も、景気と携帯ビジネスはあまり関係なかった。リーマン・ブラザーズも当社の顧客で取引はあるが、大きな影響はない。

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