ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

「写真屋の延長には未来はない」――カメラのキタムラがブランド統合、生き残りかけ「700日戦争」

» 2009年03月25日 07時00分 公開
[宮本真希,ITmedia]
画像 北村会長(左)と武川社長

 「荒波を乗り越えるための基盤は整った」――DPEチェーン大手のキタムラは3月24日、写真専門チェーン「カメラのキタムラ」「カメラのきむら」「SNAPS!」の3事業を、4月1日に「カメラのキタムラ」ブランドに統合すると発表した。

 カメラ・DPE業界は2000年ごろから急速にデジタル化が進み「津波のような変化に襲われた」(同社の北村正志会長)。同社は2002年から350億円をかけ、デジタル化に対応するための基盤作りを進めてきたが、ブランド統合はその総仕上げという。

 今後は、顧客が持ち込んだ写真でオリジナル写真集を作成する「フォトブック」事業、古い写真や映像を修復・デジタル化する「写真データファクトリー」事業、写真館事業に注力していく。

「致命的な変革」に対応 「700日戦争の元日」

 「フィルムがなくなるのは、われわれにとって致命的な変革だった」――同社の武川泉社長は、デジタルカメラが普及し、本業である写真プリントを取り巻く環境が激変したここ数年をこのように振り返る。「本業をやめるか、やり抜くかの決断を迫られた」(北村会長)ほどだった。

 北村会長は02年「変革をやり抜くしかない。変化を加速して生きる可能性を追求する。先回りして次の戦場へ準備する」と決意。350億円をかけ、デジタルプリントへの対応、カメラのきむらと、SNAPS!を展開するジャストフォートの買収、物流センターの設置、店舗のスクラップ&ビルドなどを進めた。

 ブランド統合は、変革の総仕上げと位置付ける。統合により、キタムラブランドの店舗数は1049店になり、直営のカメラ・プリント専門小売店として世界一の店舗数という。

 「あと2年すれば成果が実る。7年かかって今日という日を迎えたが、700日戦争の元日でもある」と北村会長は気を引き締める。

「写真屋の延長には未来はない」

画像 同社のフォトブック

 今後のスローガンは「イメージングコミュニケーションの文化を変える」。「従来の写真屋の延長には未来はない」(北村会長)として、3つの戦略を立てている。

 1つ目は、2年前に始めたフォトブック事業の強化だ。顧客が持ち込んだ写真を使って写真集を作成するサービスで、リピート率も高いという。同社によると、米国のフォトブック市場規模は06年〜08年にかけて2.6倍に拡大するなど好調。日本の市場は米国の10分の1程度だが、日本でも拡大する余地があるとみている。

 09年は200万冊・40億円を売り上げる計画。11年には1500万冊・300億円規模に拡大し、プリント注文の売り上げに占めるフォトブックの割合を5割まで引き上げるとしている。

 2つ目は、写真データファクトリー事業の展開だ。古い写真やネガフィルム、8ミリビデオやVHSなどの映像を修復・再現やデジタル化、データを容量無制限で保管するストレージサービスも展開する予定だ。

 3つ目は写真館事業。同社が運営する「子ども写真館 スタジオマリオ」を、カメラのキタムラ店内にも併設するなどして店舗数を拡大する。カメラのキタムラでは、高品質な証明写真を撮影できるサービスも新たに始める予定だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.