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「地域性重視でYahoo!やGoogleにも勝てる」 Baiduの日本戦略

» 2009年08月25日 17時33分 公開
[小笠原由依,ITmedia]
photo 「Baidu.jp」

 「検索エンジンが提供できていない価値は、まだいろいろある。そういったもの考えて提供していきたい」――検索サイト「Baidu.jp」を運営するバイドゥの井上俊一社長は語る。

 Baidu.jpは、中国最大手の検索サイト「Baidu.com」の日本語版で、2008年1月に正式公開。Web、画像、動画、ブログを高速に横断検索できるのが特徴だ。井上社長は元ヤフーの検索事業部長で、昨年8月にバイドゥ社長に就任した。

 検索サイト構築では地域性を重視。「Baidu.comは、ほかの国で作られた検索エンジンを多言語化したわけではなく、中国の人のために中国で作って成功した。日本でも同様に専属の開発チームを作り、日本人向けの検索エンジンを開発している」という。

 「検索はイコール文化。その土地の文化を理解している人が作っていく。地域の人に向けたサービスを作れれば、その地域では勝てる」と自信を見せる。

 「Webの検索エンジンはすぐにはできない。技術力や経験、会社の組織などすべてそろっていないとできない。資金も必要で、ベンチャーがすぐに参入できる業界ではない。今、1社で新たに地味な作業をやり続けられる企業はバイドゥだけだと思っている」

 同社は、基幹となる検索エンジンを強化する段階にあるという。「日本では、Yahoo!JAPANとGoogleの2サイトがシェアの90%を握っている。後発なため、時間はかかると思うが、長期的な視野で取り組んで行きたい」

 昨年6月には、ポータルサイト「livedoor」にBaidu.jpの画像検索エンジンが採用された。「(新しい検索エンジンを好んで使うような)リテラシーや情報感度の高いユーザー以外にもリーチしたい」とし、今後も他社への検索エンジン提供を広げたい考えだ。

photo バイドゥの井上俊一社長

 「今の検索サイトは、情報を整理するところで止まっている」と、井上社長は話す。Baidu.jpが目指すのは、検索の目的までくみ取れるサイト。与えられらたデータベースから検索技術を駆使して情報を選別するのではなく、検索の目的や背景をくみ取ってサポートできる検索サイトをにしたいという。

 「整理することは非常に重要だが、いい検索結果は、“人”の要素が絡んで来ないと返せない。何らかの機械の仕組みと人の要素がうまく混ざり合えば、いい検索の仕組みができあがると思う」

 今後、中国のBaiduが培ってきた中国最大手の掲示板サイト「Post Bar」やQ&Aサイト「Baidu Knows」を運営してきたノウハウを生かし、“人”と検索エンジンの融合を目指していく。

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