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» 2009年10月27日 07時00分 UPDATE

8カ月で140万ユーザー 現実の延長線上にある仮想空間「アメーバピグ」

サイバーエージェントの「アメーバピグ」は、「似顔絵」や現実とのつながりを意識した仮想空間だ。開始から8カ月でユーザーは約140万人にふくらみ、月間数千万円のアバターアイテムを売り上げる。

[ITmedia]
photo 「アメーバピグ」

 「現実の延長線上にピグがあることを大事に作っている」――サイバーエージェントの山崎ひとみプロデューサーは、2D仮想空間「アメーバピグ」についてこう述べる。

 Webブラウザで利用できる仮想空間で、自分にそっくりなアバター「ピグ」を作り、現実の東京などに見立てた街の中でアバターが身につける服やアイテム、しぐさ(ジェスチャー)を仮想通貨「アメゴールド」で購入し、アバター同士で交流したり、ゲームをプレイできる。

 2月19日のスタート以来急激にユーザー数を伸ばし、10月26日時点の登録者は約140万人。月間アバターアイテム収入は数千万円に上り、ブログ「アメブロ」などを含む同社のAmeba事業を収益面で支える屋台骨になりつつある。

自分そっくりのアバターで、現実そっくりの空間に

 アメーバピグの特徴は、ピグをユーザー自身に似せて作れることだ。アバターは2頭身にして顔を強調。Wiiの「Mii」のように、顔や髪型、眉毛などを細かく設定し、自分そっくりに作れる。ユーザーのピグの顔は多種多様。「ユーザーのみなさんも、なんとなく自分の顔の特徴は分かっているようで、1人1人全然違う顔をしている」(山崎プロデューサー)

 仮想空間はいくつかの“街”で構成されている。「浅草仲見世通り」「代々木公園のフリマ」「渋谷の“106”前」など現代の街を連想させるものから、タイムマシンというアイテムを購入すると行ける「石器時代」や「江戸時代」などを用意。タイムトラベルで行く街でも、基本的に「何年のどこ」ときちんと時代設定し、リアルさを追求した。

 アバターの姿や仮想空間を現実に近づけた理由は、アメーバピグが同社のブログ「アメブロ」にひもづいているためだ。アメーバピグの中で撮った写真(キャプチャ画像)をアメブロに貼ったり、プロフィール画像をピグにすることもできるため、ユーザーは、ブログに書いている現実に起きた体験とかけ離れないよう、自分に似たアバターを作る。アメブロとピグで、性別を変えることもできない仕様だ。

ジェスチャーや裏技でコミュニケーションの活性化

 各エリアでは、それぞれの街特有のアイテムを買える。例えば「1990年 バブル時代」という街では、当時流行したボディコンやディスコで振って踊るための扇子を販売。エリア限定のアイテムや季節もののイベントアイテムが人気という。

 さらに人気なのは、アバターに動きを付けられるジェスチャーだ。ジェスチャーを買えば、アバターがバック転をできるようになったり、盆踊りやエジプト風のダンスを踊れるようになったりする。「ピグのユーザーには、コミュニケーション欲求が高い方が多い。ジェスチャーは直接コミュニケーションにつながるので人気が高い」と山崎プロデューサーはみている。

 仮想空間で珍しいジェスチャーを披露しているピグがいると、近くのピグがまねをして同じジェスチャーを始めることもある。ユーザーのジェスチャーを見て「自分もやりたい」と思った場合、「それ、どこで買ったの?」と聞けばたいてい教えてくれる。アイテムやジェスチャーの情報をお互いに交換し、コミュニケーションが活性化している。

 発言用のウィンドウに決まった文字列を入力すると絵文字が出たり、ピグの体が変化する「裏技」と呼ばれるコマンドも人気。裏技マニアのユーザーもいるという。「裏技を教え合うことでコミュニケーションが生まれることもある。裏技は、狙ったわけでなく、開発時の遊び心。大々的に告知をしているわけではないが、ちょっと出すとすごい勢いで広まる」

 コミュニケーション欲求の高さは、ゲームにも現れている。「日本人特有の文化なのかもしれないが、アバター同士で対戦ゲームをする時には、必ず1度おじぎをするとか、ジェスチャーにはジェスチャーで返さなきゃいけないという礼儀みたいなものが根付いている。ユーザーもコミュニケーションが目的でゲームをプレイしており、ゲームエリアよりおしゃべりをするエリアの方が人気」

売り上げは「月間数千万円規模」

photo サイバーエージェントの山崎ひとみプロデューサー

 アメーバピグの開発は、ブログ中心のAmeba(アメーバ)サービスで、ブログ以外のコミュニケーション機能を強化しようと考え、アバター機能の追加を検討したことから始まった。当初は仮想空間を作ろうとは思っておらず、「アメーバユーザーに刺さるアバターは何か」と考え始めたという。

 できあがったアバターのラフは操り人形のようなデザイン。体に手足がぶらぶらと付いていた。試しに架空の街の中を歩かせてみたところ「非常にかわいくて、ああ、これだ! と思った」という。その後、アバターイラストなどに修正を加え、できあがったのが現在のアメーバピグだ。

 サービスの収入源は、服やアイテム、ジェスチャーなどを手に入れるための仮想通貨「アメゴールド」だ。Amebaサービス全体で利用できる仮想通貨で、現金で購入したり、スポンサーサイトに登録することで貯められる。アメーバピグ単体での売り上げは、「月数千万円規模くらい」という。

 アメゴールドは、ほかのAmebaユーザーに画像などのプレゼントを贈れる「Amebaプレゼント」や、ブログの機能追加にも使えるため、流通量が増えればAmebaサービス全体の活性化につながる。

 今後の目標は、会員数やユニークユーザーの増加、それに伴うアメゴールド流通額の増加だ。「いかに濃いコミュニティーを作るかがマネタイズに影響する。濃いつながりが作れ、ユーザーの活動が活性化するような仕組みをしっかり醸成していこうと思う。コミュニティーさえしっかりしていれば、ジェスチャーやアイテムが欲しいという欲求につながるので」

 山崎プロデューサーは「ユーザーが自然に、『このアイテムや服を身に付けて街に出たい、人や友達に見せたい』と思ってくれるような世界観を今後も作り上げていきたい」と話している。

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