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AppleがiPhoneアプリを大量削除 不正レビュー投稿で

» 2009年12月10日 13時33分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 あるデベロッパーが不正レビューを投稿しているとの報告を受け、米Appleは12月7日、同社のアプリケーションストア「App Store」から1000本以上のアプリケーションを削除した。不正レビューを投稿したとされているのは、中国のソフトウェアデベロッパーMolinkerだ。この不正はあるブロガーによって指摘されたものだが、Molinkerはそうした批判を否定し、「問題解決に向けてAppleに連絡をした」と説明している。

 事の発端は、iPhoneographyブログのオーナーであるグリン・エバンズ氏の元にSCWというハンドル名の読者からメールが寄せられ、今回問題となっている不正レビューの存在が明らかになったことだ。この報告を受けて、エバンズ氏はAppleのワールドワイド製品マーケティング担当上級副社長であるフィリップ・シラー氏に連絡したという。

 iPhoneographyブログに投稿されたシラー氏あてのメールによると、SCWは次のように書いている。

 「MolinkerのアプリケーションNightCam Proに対してレビューを投稿した44人のレビュアーについて調べたところ、2件を除くすべてのレビューはどれも5つ星評価の不正なものだった。どのレビュアーもMonikerのアプリケーションについてしかレビューを投稿していない」

 同ブログによると、SCWのメールはさらに次のように続いている。「おそらくこうしたレビュアーは皆、Monikerのアプリケーションのプロモーションコードを利用し、米国のApp Storeにアクセスしては、一連の偽レビューを投稿していたのだろう」

 そう指摘した上で、さらにSCWはAppleに報酬を要求している。「一般ユーザーを欺き、一般ユーザーからお金をだまし取ろうという、この不正な試みを発見したということに対し、わたしはそれなりの調査報酬を受け取ってしかるべきだと考えている」

 Appleが12月7日にMolinkerの1011本のアプリケーションをApp Storeから削除したということは、同社がSCWの指摘に同意したということなのだろう。AppfreakブログがMolinkerに問い合わせて、どのように対応するつもりかを尋ねたところ、困惑した様子のメールが送られてきたという。

 MolinkerのWebサイトドメインの所有者はAppfreakに対し、次のように返信してきたという。「Appleから昨日(12月6日)メールを受け取ったが、それによると、われわれの契約はペンディング状態に変更されたとのことだった。このような突然の変更の理由を説明してもらうべく、既にAppleには連絡を取った。Appleからの迅速な返答と対応を期待している」

 AppleのApp Storeは急速な勢いで拡大を続けており、11月には登録アプリケーション数が10万本を突破している。また同社によると、ダウンロード件数は既に20億件を超えているという。

 12月3日には、調査会社IDCが「今後、携帯端末の成長とともにモバイルアプリケーション市場も拡大し、iPhoneアプリケーションは現在の3倍の30万本に達し、Androidアプリケーションは5倍以上に増加するだろう」との予測を発表している。

 こうした爆発的な成長により、おそらくAppleに対しては、App Storeに無用あるいは不正なアプリケーションを登録しようとするデベロッパーの締め出しを求める声が高まることが予想される。これまでにもAppleは世間の圧力を受けてアプリケーションを削除したことが何度かある。例えば、同社は今年4月、複数の団体から激しい抗議に遭い、「Baby Shaker」アプリケーションをApp Storeから削除している。iPhoneを使ってバーチャルな赤ちゃんを揺さぶり静かにさせるというゲームだった。

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