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「事件の影響、落ち着いてきた」――ライブドアの今

» 2010年02月02日 14時08分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 2006年1月の強制捜査に始まった「ライブドア事件」から4年。ライブドアは、経営陣の交代や事業のスリム化などを経て攻めの姿勢を取り戻しつつある。「新サービスをぽんぽん出せる体制にしていきたい」と出澤剛社長は意気込む。

 07年4月に持ち株会社制に移行。持ち株会社・ライブドアホールディングス(現在のLDH)と事業会社のライブドアに分社した。ライブドアの08年10月〜09年9月期の連結売上高(子会社エイシス含む)は約93億円、営業利益は9億円。「livedoorデータホテル」で展開するサーバ・インフラ事業が堅調なほか、広告事業も伸びているという。

画像 ポータルサイト「livedoor」はブログを前面に押し出している

 「livedoorブログ」(登録ユーザー310万、月間ページビュー18億:PC・携帯合計)や掲示板サービス「したらば」(月間PV 5億:PC・携帯合計)などトラフィックの大きなCGMサイトで早くから取り組んできたコンテンツマッチ広告が効果を発揮しているほか、ブログを使った口コミ広告も順調。ブログコンテンツを全面に押し出して他社と差別化したポータルサイト「livedoor」は、ディスプレイ広告の受注も順調という。

 SNS「フレパ」や初心者向けブログ「nowa」終了など不採算事業からの撤退を進める一方、ブログシステムのASP提供やブログメディアの展開に力を入れている。池田信夫さんを編集長に迎えた「アゴラ」や湯川鶴章さんの「Tech Wave」といった専門ブログメディアを積極的に展開。ニッチながらエッジの立ったメディア作りに取り組んでいる(「プロの書き手に場を提供したい」――ライブドア、専門ブログメディアを横展開)。

 ポータルやブログを運営する「メディア事業部」のオフィスは09年11月、赤坂から新宿に移った。移転で賃料を削減できたほか、新宿でサーバ・インフラ関連の事業を運営するネットワーク事業部の拠点との距離がぐんと近くなり、連携が取りやすくなったという。

「次世代の柱になるものを作っていきたい」

 LDHは09年12月、堀江貴文元社長と和解。堀江元社長がライブドアのインタビュー企画に登場するなど、事件から1つの区切りがついた感もある。

画像 出澤社長。オフィスは新宿の真新しいビルのワンフロアにある

 「事件の影響もようやく落ち着いて来たので、次世代の柱になるものを作っていきたい」と出澤社長は意気込む。法人向けデータセンター「livedoorデータホテル」で、仮想サーバと実サーバを組み合わせた「クラウドっぽい」サービスや、携帯電話サイトで短いテキストを更新し、ユーザー同士で交流する「リアル」のようなサービスも、3月から提供する計画だ。

 出澤社長は事件前から一貫して、ライブドアの最大の資産は技術力だと考えている。全社員約300人のうち約100人がエンジニア。営業担当者も技術を理解した上で営業しているのが強みという。WIDEプロジェクトのIRCサーバ運用終了を受け、IRCnetにサーバ提供を表明するなど、技術コミュニティーへの貢献も続けている。「技術と、技術をお金に換える技術を追求し、世の中に新しい価値を提供していきたい」と出澤社長は話している。

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