Twitterはキャズムを超え、一般化していくか――その可能性は「あると思う」と福原さんは話す。「2ちゃんねるのようなサービスは匿名性が高く、いま1つ信用できなかったが、Twitterは属人性、安心感、信頼性が高い」ことを理由に挙げる。
津田さんは「匿名性はキーではない」と反論する。「Twitterは写メールみたいなもので、ライフスタイルやコミュニケーション手段、回路を変える。メールでやればいいやりとりをオープンな場でやるコミュニケーションを受け入れられるかどうかがカギだと思う」
話は新時代のメディア論に発展。「地上デジタルテレビの帯域を使い、KindleやiPadような電子書籍端末にコンテンツを配信できれば面白い」(福原さん)など、技術やインフラの発展についてさまざまな夢が描ける時代になっている。
だが既存のビジネスとの関係や著作権問題など、新たなコンテンツビジネスには障害が付きものだ。「メディアは変革期にあるが、ほとんどが組織論で、決定権ある人たちがなかなか乗り越えられない。著作権まわりでも、かつて見たいろんな光景が繰り広げられている」と津田さんはため息をつく。
福原さんは「組織は固い。正規軍の活動ではなく現場同士でつながってテロ的にアタックして逃げて――としているうちに新しいものができるのでは。TwitterやUstreamは既存の組織へのカウンターの可能性を持っている」と、新たなネットメディアによる“カウンター攻撃”が既存システムに変革をもたらすことに期待する。
「カウンターじゃなくていいと思う」と小林さんは言う。「マスメディアはスーパーコンピュータのようなものだが、PCの登場で超並列分散化した。メディアもスパコン的なものとグリッド的なものに2極化する。グリッド的なメディアでどういうビジネスをするかの問題で、リアルサービスにひも付けた換金手段を持ったり、コンサルティングで稼いだりなど可能性はいろいろあると思う」
福原さんも「テレビとネットは並列関係で、ネットはテレビを目指さなくていい」と同意。「20年間テレビ番組を作ってきたが、ここ数年、ブログやTwitterがテレビの作り方も変えるんだろうなという実感が出てきた。テレビのビジネスモデルが一時的にうまくいかなくなるだけで、ものづくりとしては面白くなってきていると思う」
新進音楽サイト「ナタリー」に関わったり、Twitterを使ったジャーナリズムにチャレンジする津田さんは、ネット上で新メディアがうまくいく確率を「15〜20%程度」と指摘。「その確率が高いと思える人が新しいメディアを作れる。TwitterやUstreamなどを活用してチャレンジしてくれれば面白くなるだろう」
「1日中Twitterやってそれでお金もえらる」時代の到来を期待していると、津田さんは「半分冗談、半分本気」で話す。「ブログをちゃんと更新していたころは、AdSenseやAmazonアフィリエイトで月10万円ぐらい入っていた。TwitterにAd Senceが付いたり、ふぁぼ(つぶやきのお気に入り登録)が1つ10円など換金できれば、『面白いことをつぶやこう』と考えるようになるだろう」
読者投票をベースに、質の高いブログをカテゴリーごとに表彰する「アルファブロガー・アワード 2009」(事務局:シックス・アパートとアジャイルメディア・ネットワーク)は、写真、書評など10のカテゴリーで計約70のブログがノミネートされ、カテゴリーごとに1〜2ブログの受賞が決まった。受賞ブログは以下の通り。
部門 | 受賞ブログ |
---|---|
写真 | すずちゃんのカメラ!かめら!camera! |
書評 | マンガがあればいーのだ。 |
ライフハック、仕事術 | lifehacker |
デザイン | コリス |
ビデオキャスト、Podcast | webdog、MEGWIN TV |
芸能人、有名人 | 六本木で働いていた元社長のアメブロ、しょこたんぶろぐ |
ガジェット | GIGAZINE |
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