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楽天の3倍「世界最大のEC市場」 中国TaobaoとYahoo!ショッピングが相互接続

» 2010年06月02日 07時00分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 都内で開かれた会見で握手する孫社長とジャック・マーCEO

 ヤフーと、中国AlibabaグループのTaobao(陶宝)は6月1日、中国最大のECサイト「Taobao」(淘宝網)の商品を「Yahoo!ショッピング」から購入できる「Yahoo!チャイナモール」をオープンした。Taobaoで販売されている商品のうち約5000万点を、通常のYahoo!ショッピングとほぼ同じ手続きで購入できる。

 陶宝にも同日、Yahoo!ショッピングの商品のうち約1000万点を購入できる「陶日本」(タオジャパン)がオープン。日本の出店者は言語や配送の心配なく、日本向けと同様の手続きで中国向けに販売できる。

 「世界最大のEC市場が誕生した」――ソフトバンクグループ社長でヤフー会長の孫正義氏は、同日都内で開いた発表会でこう述べる。発表会にはAlibabaのジャック・マーCEOや、在日中国大使の程永華氏も出席し、サービスインを祝った。

中国商品を日本語・日本円で購入 1〜2週間で手元に

 Yahoo!チャイナモールで購入できるのは、Taobaoで販売している約4億5000万点のうち、日本輸出が可能、かつ、一定の基準を満たした出店者の商品5000万点で、衣服や雑貨、インテリア、家庭用品、おもちゃ、ゲームなど。

 購入の流れは、通常のYahoo!ショッピングとほぼ同じだ。商品名やジャンルなどで検索し、価格や写真、説明文などを確認して購入手続きする。説明文などは機械翻訳で日本語化しているが精度は低く、日本語は不自然。「今後改善していく」(ヤフーの井上雅博社長)という。


画像 Yahoo!チャイナモール
画像 商品紹介ページ。日本語はかなり不自然だが、なんとなく意味は分かる。「改善が必要ということは認識しているが、写真と、好意的な想像力を働かせていただければ十分に伝わるのでは」(ヤフーの井上社長)

 表示価格は日本円で、Taobaoでの販売価格を日本円に換算し、手数料などを加えたもの。日本への送料は別途かかる(500グラム以下で約1700円など)が、「個人で手配するよりかなり割安になる」という。関税は1万6666円以下なら無料で、それ以上の場合は商品によって異なる。決済は代引きのみだが9月ごろにカード決済に対応。商品は1〜2週間程度で届く。

 Yahoo!チャイナモールで商品が購入されると、Taobaoグループの購入代行会社が出店者に支払い手続きし、商品確認や通関手続きもした上で日本に発送。成田で通関手続きをし、注文者に届く。中国国内で商品確認を行うことで、「購入した商品が届かない」といった事故が起きないようにする。

 Yahoo!ショッピングの商品は、グループ会社のネットラストが提供するクレジットカード決済「ストア決済」に対応していれば、自動的にタオジャパンにも出品される(中国輸出不可能なものなど一部商品を除く)。手数料など追加コストは発生せず、中国語のやりとりも不要。商品は国内の購入代行会社の倉庫にいったん集めるため、発送も国内向けでOKだ。決済にはAlibabaグループが提供する「Alipay国際決済」を利用する。

取扱高楽天の3倍、「アジアの圧倒的ナンバーワン」

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 昨年のYahoo!ショッピングとTaobaoの合計取扱高は3兆8000万円。楽天市場の取扱高・1兆2000億円の3倍以上で、「アジアの圧倒的ナンバーワンになる」と孫社長は強調する。今年の合計取扱高はeBayを超え、世界ナンバーワンになる見通しだ。

 自力で輸出を行う体力がない両国の中小企業に、輸出ルートを提供することも大きな狙いだ。「言語、決済、通関、配送などの壁を一気に取り払った。中国と日本をひとつの経済圏にし、売り手に大きなチャンスを提供したい。日本人と中国人の心が通合うきっかけにできれば」と孫社長は意気込む。

 Alibabaのジャック・マーCEOは「6月1日の『世界子どもの日』に、日中で新しい子どもが生まれた。中小企業が発展するための力になりたい。消費者、出店者、われわれ3者のwin-win-winになる」などと述べた。

 ヤフーの井上雅博社長は、「Yahoo!オークションは2000万点、Yahoo!ショッピングは3000万点、Yahoo!チャイナモールは5000万点で、合計1億点の商品が購入できるようになる。クロスボーダー取引で、大きな1つの市場を作れるのではないか」と期待している。

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