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» 2010年08月05日 14時29分 UPDATE

米電子書籍リーダー市場、KindleとNOOKの寡占状態へ?

今年1月に多数のメーカーが独自の電子書籍リーダーを発表したが、その多くが後退している。端末価格が下落を続けて100ドルにまで達すれば、長く戦っていけるのはAmazonのKindleとBarnes & NobleのNOOKだけかもしれない。

[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 1月にラスベガスで開かれたConsumer Electronics Showでは、タブレットと電子書籍リーダーが大流行しているように見えた。Samsung、Amazon.com、Barnes & Noble、Plastic LogicSpring DesignHearstの子会社など多数の企業がこのイベントで電子書籍リーダーへの取り組みを発表していた。さらにAmazonのKindleとBarnes & NobleのNOOKは、年末商戦の買い物客から尽きることなどないかのように見えるほどの需要をかき立てていた。電子書籍リーダーは確かに、もう何社かの企業が入っていける市場だった――そうだろう?

 だが、そうではなかった。

 数カ月でこれほど様変わりするものなのか。7月28日にAmazonが第3世代のKindleとKindle Wi-Fiを発表するまでに、同社よりも小さなメーカーのほとんどは後退してしまっていた。出張の多いビジネスパーソンや幹部向けのやや高額なPlastic LogicのQUEは、発売が延期され、6月に予約がキャンセルされるまでになった。Skiffは死に体だ(訳注:News Corp.は6月にHearstからSkiff事業を買収したが、取得したのは電子書籍ソフトのみで、端末は買収しなかった)。ソニーは市場にまだいるが、AmazonやBarnes & Nobleほどのマインドシェアは獲得していない。

 「電子書籍市場では、専業の電子書籍企業は2社、あるいはおそらくは3社を超えないと思う」とBarnes & Nobleのウィリアム・J・リンチCEOは6月にNew York Timesに語っていた。「これから淘汰が始まると思う」

 リンチ氏は当時のインタビューで、電子書籍リーダーの価格はいずれ100ドルを下回るだろうと予測していた。

 この予測は実現するかもしれない。7月29日に、Copiaの広報担当者はeWEEKに電子メールを送り、同社が5インチのカラー画面の電子書籍リーダーを今秋99ドルで発売すると示唆した。担当者は、Copiaのビジネスモデルについての質問、つまりその価格で損を出さずに売れるのかどうかには答えなかった。

 果てしなく下がり続けていくように思えるKindleとNOOKの価格を考えると、この質問はいっそう重要性を増す。

 「値下げによって、Barnes & NobleとAmazonの電子書籍リーダーの価格は部品コストおよび製造費とトントンのレベルにまでなっている」と調査会社iSuppliのウィリアム・キッド氏は6月24日の発表文で述べていた。「ハードの利益がゼロになった今、両社は書籍の販売でこの市場からお金を得たい考えだ」

 AmazonもBarnes & Nobleも書籍の販売に既存のインフラと顧客基盤を活用できるが、それよりも小規模な電子書籍メーカーにはそこまでのブランド認知度やマーケティング予算はない。電子書籍が多く売れず、利益率がゼロかマイナスのデバイスを製造することになれば、小さな企業はすぐに立ちゆかなくなるだろう。

 さらに、AmazonもBarnes & Nobleも比較的迅速にデバイスに新機能を追加できているようだ。Amazonの第3世代KindleはWebkitベースのブラウザ、テキスト音声変換、音楽やポッドキャストを聴ける機能を搭載する。最近のNOOKのアップデートには、Androidベースのゲームなどが含まれている。両社がデバイスの機能を迅速にアップデートできることで、小規模プレイヤーが自社デバイスの「独自の」機能を売り込むことが難しくなる。数四半期のうちにそれに匹敵する、あるいはそれを超える機能を投入されてしまうリスクがある。

 カラーディスプレイについてはどうだろうか? PandigitalとCopiaはカラー画面を模索している。だがそのようなデバイスは価格が高くなり、タブレットPCやAppleのiPad――今後登場するかもしれないフルカラーのKindleやNOOKは言うまでもなく――と競争することになる。そうした衝突は直接的で激しいものになるかもしれない。

 第3世代Kindleは189ドル、Kindle Wi-Fiは139ドルで、後者はNOOK Wi-Fiモデルより10ドル安い。Barnes & NobleとAmazonはこの価格を100ドルにまで引き下げ、1台当たりの赤字を増やしてまでもユーザー層を広げようとするだろうか? その可能性はある。特に、顧客基盤を拡大しているiPadに両社が脅威を感じていたら、そうするだろう。だが両社は、そのレベルで長く戦っていける数少ない電子書籍リーダーメーカーのうちの2社――唯一の、とはいかなくても――となるだろう。

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