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電子書籍リーダーの競争激化、「NOOKがKindle抜く」の報告

» 2010年04月27日 14時05分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 台湾の市場調査会社Digitimes Researchがまとめた最新のデータによると、2010年3月の米国の電子書籍リーダー市場では、米書店大手Barnes & Nobleの電子書籍リーダー「NOOK」の出荷台数がAmazon.comの「Kindle」を若干上回ったという。両社は目下、急速にメインストリーム化が進む電子書籍市場でのシェア拡大に向けて、取り組みを加速させつつある。

 Digitimes Researchのアナリスト、ミンチ・クオ氏によると、2010年3月に米国のベンダーに出荷された電子書籍リーダーのうち53%をNOOKが占めたという。この数字は、上流サプライヤー各社のデータをもとに導き出したもの。

 クオ氏はNOOKの好調の要因として、Barnes & Nobleが自社の実店舗でNOOKを販売できる点とNOOKが比較的新しい端末である点を挙げている。Barnes & NobleとAmazonはいずれも電子書籍リーダーの販売台数を公表していないが、Amazonのジェフ・ベゾスCEOは昨年12月、オンライン雑誌Slateの取材に応じた際に、Kindle版書籍の売上げは物理的な書籍の売上げの48%に相当するといった主旨の発言をしている。

 クオ氏のデータが正確かどうかはともかく、Barnes & NobleとAmazonの競争はここ数カ月で着実に加速している。大手小売チェーンのBest Buyは先ごろ、NOOKの小売チャンネルとなる方針を発表しており、一方では、Amazonも大手ディスカウントチェーンTargetの全米各地の店舗で4月25日からKindleを販売すると発表している。

 契約条件によると、Best Buyは今後、一部のPCとスマートフォンにNOOKの電子書籍ソフトウェアをプリインストールして販売することになるもよう。Barnes & NobleとAmazonはそれぞれ自社独自の電子書籍の潜在ユーザー数を増やすべく、競合端末のiPadも含め、多数の端末に電子書籍リーダーアプリケーションを移植する取り組みを進めている。

 Barnes & Nobleは4月23日には、NOOKのソフトウェアアップデートをリリースしている。新版には、WebブラウザやAndroidベースのゲーム各種が追加されているほか、「Read In Store」と呼ばれる新機能では、ユーザーはBarnes & Nobleの実店舗で同社の電子書籍を1日1時間まで無料で「立ち読み」できるようになっている。

 「そのほか、ページをめくる速度の改善、過去に読んだ電子書籍へのアクセスの高速化、カラータッチスクリーンのナビゲーション機能の強化など、操作性や性能の向上を図った。NOOKソフトウェアのアップデートはwww.NOOK.com/updateからダウンロードできる」とBarnesandNoble.comのコンテンツ&ソーシャルメディア担当マネジャー、ポール・ホックマン氏はNOOK and BN eReaderブログに4月23日付でコメントしている。

 Barnes & Nobleはこうした改良により、NOOKに寄せられた初期の批判に応じたい考えなのだろう。NOOKに対する初期の評価では、主に動作の遅さや操作性の悪さに批判が集中した。

 一方では、AmazonもKindleに幾つかの改良を加えており、SDK(ソフトウェア開発キット)のリリースもそのうちの1つだ。サードパーティー開発者はこのSDKを使って、ゲームなど、Kindle向けのアプリケーションを開発できる。さらにAmazonは最近、タッチスクリーン技術を専門とする新興企業を買収しており、このことから、次世代Kindleにマルチタッチスクリーンが搭載される可能性も予想されている。現行のNOOKは読書用の電子インク画面に加えて、ナビゲーションとダウンロード用にiPhone風のカラースクリーンを搭載している。一方、AppleのiPadは電子書籍アプリケーションを搭載し、インタフェースはすべてタッチスクリーン式となっている。

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