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GREEはバーチャル、mixiはソーシャル?News Weekly Top10

» 2010年09月13日 20時17分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 先週のアクセス2位には、はてなからグリーに移った伊藤直也さんと、グリー田中良和社長のインタビュー記事が入った。伊藤さんが開発した「はてなブックマーク」でも記事の反響は大きく、すでに1000以上ブクマされている。

 記者は最近、GREEやモバゲータウンのゲームを本格的に始め、ゲームつながりの友人“グリ友”や“モバ友”ができた。ただ友人といっても、ゲームを一緒にプレイしたことがあるだけの仲。mixiの「マイミクシィ」のような現実に根ざした関係ではなく、顔も本名も知らない相手ばかりだ。

 ゲームに根ざしたGREEやモバゲーのソーシャルグラフを「バーチャルグラフ」と呼ぶ向きもある。リアルな人間関係に根ざした「ソーシャルグラフ」と対比した名称だ。GREEやモバゲーは現実に根ざさないバーチャル、mixiはその逆でソーシャルというのは、記者の実感にも近い。

 モバゲーは自ら「バーチャルグラフ」であることを認めており、「mixiチェック」に対応するなど、ソーシャルグラフはmixiに依存する方針。一方GREEは、mixiと同様、ソーシャルグラフを築いた上で、オープン化する戦略を採っている。

 グリーに転職した伊藤さんの仕事も、GREEの交流機能を強化すること。田中社長もGREE内の人間関係を「バーチャルグラフ」と割り切ってはいないようだ。

 田中社長に「GREEはバーチャルグラフ」という見方に対する考えを聞いてみたところ、「ゲーム友達と実名の友達は、明確に分かれているわけではないと思う。友達関係がバーチャルなのかどうか区別すること自体が求められていないのではないか。使いたい人が使える機能があり、ユーザーが自分で選択していけばいいと思う」という意見だった。

 田中社長のこの考えは、2007年ごろから変わらない。07年10月、GREEにアバターを導入したころのインタビューでは、「最近のネットユーザーは、リアルとバーチャルを区別しなくなってきている」と話し、GREEというSNSに“バーチャル”なアバターを取り込んだ理由を説明していた。

 伊藤さんは「ゲームとリアルのグラフが混じっているが問題ではない」と言う。「本質的な問題は、グラフが1つしかないこと」で、仕事の友達も大学の友人もゲーム友達も1つの混ざってしまうのが問題とみる。伊藤さんの理想は、GREEを使っていくうちに「自然にグラフが分かれていく」こと。GREEを使い続けるほどソーシャルグラフが成長し、使いやすくなっていく――というイメージだ。

 リアルなソーシャルグラフを売りにしているmixiは、「仲良しマイミク」や「mixi同級生」「mixi同僚ネットワーク」など、リアルな人間関係にひもづく情報をユーザーに入力してもらい、ソーシャルグラフを強化してきている。

 もしGREEで伊藤さんの理想が実現すれば、mixiユーザーが手作業で入力してきた「仲良し」「同級生」「同僚」といった情報も、GREEを使っていくうちに自動で反映されていくのかもしれない。ネット上でのやりとりから“仲良し度”を推察し、「日記をオープンにしてもいい人」「日記は絶対見せられない人」など最適なソーシャルグラフを自動で作ってくれるのかもしれない。

 熱くなってきたソーシャルグラフをめぐる戦い。今後の進化が楽しみだ。

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