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「セキュリティ システムズ事業部」を新設した日本IBM、事業戦略を語る

» 2012年02月23日 13時41分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本IBMは2月23日、1月1日付で発足した「セキュリティ システムズ事業部」の2012年の事業戦略を発表した。中堅企業顧客の拡大や2011年第4四半期に買収したQ1 Labsのセキュリティ分析ソリューションの展開に注力する。

 同社は、これまでTivoliやWebSphereといった事業ブランドごとに展開していたセキュリティ商材をセキュリティ システムズ事業部に集約。同事業部が営業や技術、マーケティングなどを担当する体制とした。

 IBMはQ1 Labs以外にも、過去数年にわたってネットワークセキュリティのInternet Security Systems、リスク/コンプライアンス管理のConsul Risk Management、データベースセキュリティのGuardiumといった多数のセキュリティ企業を買収。これらベンダーの製品や技術を各ブランドに組み入れる展開してきた。

IBMのセキュリティポートフォリオ

 会見した常務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェク・マハジャン氏は、企業のIT環境の大規模化と複雑化を背景に、統合的なセキュリティ対策ニーズが高まっていると説明。分散化していたセキュリティ製品やサービスを一元化することで、こうした企業ニーズに対応していく考えを示した。

 2012年の事業戦略ではIPS(不正侵入防御)を切り口とした中堅企業顧客の獲得、セキュリティリスクの予兆を事前に把握できるようにするための分析ソリューションの訴求を柱に据える。

 同社ではシステムの脆弱性を突く攻撃に対して、セキュリティ研究機関「X-FORCE」とIPSを連携させて検知・防御する「仮想パッチ」の仕組みを提供。また世界9カ所にあるセキュリティ監視センター(SOC)で顧客企業のネットワークに対する攻撃を監視するサービスも展開する。

セキュリティ システムズ事業部の和田秀雄事業部長

 セキュリティ システムズ事業部 事業部長の和田秀雄氏によれば、こうした製品やサービスの利用は大企業が中心だったが、2011年に企業などを狙う標的型サイバー攻撃が多発し、中堅企業からの問い合わせが増加している。今後は約70社あるパートナー企業を100社規模に拡大することで、中堅企業顧客への対応を強化、またSOC間の連携も強化し、24時間体制で日本語によるセキュリティ監視サービスを提供できるようにするという。

 またセキュリティ分析ソリューションは、Q1 Labsの分析技術やX-FORCEのノウハウ、ビッグデータ解析技術などを組み合わせ、製品やサービスとして展開する。システムが発する多種・大量のログデータを分析することで標的型サイバー攻撃などの兆候を検知し、企業が迅速な対応が取れるよう支援していく。

 このほか、業界ごとのセキュリティ課題に対応したソリューションの展開やセキュリティ情報の発信にも力を入れるとしている。

さまざまなログやITシステムの稼働状態、利用状況を分析することで、セキュリティ事故・事件の発生を未然に防ぐようにしていく

 和田氏は、「企業が“脅威の侵入を防ぐ”、“内部情報の流出を防ぐ”といった明確な方針を基にセキュリティ対策を講じていけるよう、高度な分析力と総合的なソリューションを提供していきたい」と述べた。

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