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「ビジネスモデル、変わった」 ミクシィ上期、純益3.5倍 ソーシャルゲーム、スマホ拡大

» 2012年11月02日 19時10分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 ミクシィが11月2日に発表した2012年4〜9月期(上期)連結決算は、純利益が12億500万円と前年同期比3.5倍に伸びた。ソーシャルゲームの課金収入と、スマートフォンの広告収入が成長。「1年前とはビジネスモデルが変わってきた」と、荻野泰弘取締役は話す。


画像 売上高推移
画像 広告売り上げ内訳

 上期の売上高は前年同期比12.1%増の68億17800万円、営業利益は89.7%増の16億1200万円、経常利益は2.3倍の15億8300万円。前年上期まではフィーチャーフォン・PC向け広告収入が大半だったが、同下期の「mixiゲーム」リニューアルを機に課金収入が急伸。今期は課金が広告を上回った。フィーチャーフォン向け広告は急減しているが、スマートフォン向け広告が順調に拡大している。

 7〜9月期の課金収入は、6月に導入したソーシャルゲームの新ガイドラインの影響で前四半期より微減したが、「10月から徐々に回復の傾向が出ている」(荻野取締役)という。

 売上高・利益とも、9月に公表した業績予想を上回ったものの、「ゲーム課金が横ばいなのか縮小するかなど不透明な部分がある。積極的な投資も実行していきたい」(荻野取締役)とし、通期予想は変えない。

LINEとは「食い合っていない」

画像 月間ログインユーザー数の推移

 mixiの月間ログインユーザー数は9月時点で1402万人と減少傾向に歯止めがからない一方、スマートフォンからのログインユーザー数は9月時点で864万人と順調に伸びている。笠原健治社長は月間ログインユーザー数の減少を「業者や規約違反者のアカウント削除など1端末当たりのID管理を厳格に行っている影響もある」と説明した上で、「全体のユーザー数よりスマートフォンのアクティブユーザー数が最重要と考えている」と話す。

 LINEやFacebookにユーザーが移っていると見る向きもある。「もちろんゼロではないが、以前からTwitterがあったり、という要因は変わっていない。大きな変化はないのではないか」と笠原社長。荻野取締役は「LINEはスマートフォン用アプリだが、mixiのスマホユーザーは増えており、食い合ってない」という認識を示した。

マーケティングリサーチ参入、新規事業加速

 新規事業も加速している。9月には、開発者向けサービス「DeploygGate」、女性向けの洋服定期購入「Petite jete」をスタート。11月2日にはネットマイルからリサーチシステムを取得し、マーケティングリサーチ事業に参入すると発表した

 同社は今期から「ユーザーファースト」を掲げ、mixiユーザーの意見を反映した機能追加などを推進。サービス改善のためのユーザーインタビューやアンケート調査の機会も増えており、リサーチシステムの買収は、mixi改善のためのユーザー調査の効率化・低コスト化の狙いもあるという。

 今期から社内体制も大幅に変更。機能ごとに小さなチームを作り、若手に権限を委譲。ユーザーの意見吸い上げや新機能開発、検証などを高速に行える体制に組み替えた結果、mixiメッセージへのチャット機能導入など10以上の新機能・サービスをリリースできたほか、社内が活性化し、明るい雰囲気になったという。「上半期はユーザーファーストの意識が浸透し、新規事業が具現化し始めた。下半期非常に楽しみ。心地よいつながりを実現すべく頑張りたい」と笠原社長は意気込んでいる。

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