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変わるAPIのエコシステム ヤフーはなぜ、検索APIを有料にしたか(1/3 ページ)

» 2013年01月15日 11時04分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 2012年は大規模サービスの公開APIに大きな変化があった年だった。「Google Maps API」や「Bing」の検索APIが有料化。TwitterのAPIガイドラインは開発者に厳しい内容に改訂され、対応を迫られた関連サービスの終了を引き起こした。国内では年末、ヤフーが検索APIの有料化を発表した

 「Web 2.0」という言葉が流行した2005年ごろ、APIの無料公開は1つのトレンドだった。APIで技術を公開したり、ブログで知識をシェアするなど、通常なら有料が当たり前の知識や技術をネットに無料で公開し、たくさんの人に使ってもらおうという取り組みが、ネット全体で加速していた。

 あれから7年。ネットは徐々に変化し、現実社会やリアルビジネスとのつながりを強くしてきた。その変化は、APIの公開姿勢の変化につながっている。

公開API激増

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 サービスのAPIを一般公開した先駆けは、米eBayとAmazonだ。2000年、オークションサイト「eBay」がAPIを公開。2002年にはAmazonの商品情報にアクセスできる「Amazon Web Services」(AWS)が公開された。05年には米Google、Yahoo!、Microsoftが相次いで検索APIを公開。国内でもヤフーが05年、検索APIを公開して話題になった。06年に公開されたTwitterのAPIは、さまざまなクライアントソフトや関連サービスを生み、Twitter成長の原動力になった。

 API検索サイトProgrammableWebによると、世界で公開されているAPI数は、2000年時点ではほぼゼロ。1000に到達するまで2008年までかかったが、その後、増加ペースは加速。1000から2000に倍増するのにかかったのは1年半で、さらに1年3カ月で4000に倍増。その後1年で約8000まで増えている。

 各社がAPI公開に大きくかじを切った背景には、Twitterの成功がある。Twitterは当初から、ほぼすべての機能で太っ腹にAPIを公開。外部開発者が競ってクライアントアプリや周辺サービスを開発し、Twitterというベンチャー企業がグローバルで億単位のユーザーを獲得する原動力となったのだ。

API公開のメリットは

 企業がAPIを公開する際のメリットはユーザー拡大だけではない。外部開発者にAPIを使ってもらい、社内では思いつかないような新しい利用法を開拓してもらったり、API経由でモノを売ったり、API利用を有料にすることで、直接の収益につなげることもある。社内技術をAPIの形で公開することで、技術力をアピールでき、技術者や研究者の採用につながることもある。

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 ヤフーは05年、国内他社に先駆けて検索APIを無料公開。「当時は、公開したら何が起きるんだろうというイノベーションへの期待が大きかった」と、ヤフーの鎌田篤慎さん(Yahoo!デベロッパーネットワーク サービスマネージャー)のは振り返る。その後、地図やオークション、ニュース、ショッピングなど各種サービスのAPIを公開。1日当たりのAPIへのリクエスト数(社内外合計)は、06年3月時点では1万4000だったのが、12年には11億と、1万倍以上に跳ね上がっている。

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