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「NAVERまとめ」で日経電子版の記事を一部転載可能に 「転載OK」基準明確に

» 2013年01月24日 14時00分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo 日経電子版の記事を使ったまとめのイメージ

 NHN Japanは1月24日、ネット上のコンテンツまとめサービス「NAVERまとめ」で、まとめ作成者が日本経済新聞電子版の公式ニュースコンテンツの一部を使用できるようにした。

 NAVERまとめはネット上のテキスト、画像、リンクなどを組み合わせて編集し、誰でも「まとめ記事」を作成できるWebサービス。今回、まとめ作成中の「引用」画面で、日経電子版のニュース記事(無料記事のみ)を検索し、テキスト200文字以内と記事中の画像を転載できるようになった。

 「ユーザーに“この範囲なら転載していい”という明確な基準を提供し、安心してまとめを作ってもらう」(NHN Japanの島村武志 執行役員/CPO)のが狙いだ。「CGMサービスでは一般的に、(著作権関連などの)問題が起きた時にはコンテンツを作成したユーザー側が責任を負う。そこまで責任は負えないというユーザーでも、サービス上で許諾された範囲内で安心してまとめを作れるようにする」

photo まとめ作成画面で200字以内のテキストや画像を指定して“引用”できる

 一方、日経新聞はNAVERまとめへの転載許諾を通じて「これまで接点の少なかった層へのリーチ拡大」を目指す。「日経新聞は学生など若者への知名度が比較的低く、NAVERまとめのユーザーも日経新聞と縁遠い人が多い印象がある。そういう人たちにも日経新聞の記事に触れてほしい」と日経電子版の担当者は話す。

 連携に当たって両社間でコンテンツ利用料などは発生しない。「まずは日経新聞の面白さを知ってほしい。そこからすぐに有料会員になってもらうつもりはないが、将来を見据えると(記事コンテンツの使用を許可する)価値があると考えている」と日経の担当者は話している。

「悪意あるユーザー」をけん制、コンテンツ権利者の保護も

 NAVERまとめは2012年9月にゲッティ イメージズ、Amazon.co.jpなど5社と連携し、1億点以上の画像コンテンツをまとめ作成者向けに提供している。テキストを含むニュースコンテンツの使用許諾契約を結ぶのは今回が初めてだ。

photo 島村さん

 島村さんによると、NAVERまとめではこれまで「一部の悪意あるユーザーがニュースサイトの記事をほぼ全文転載したりと、楽して“インセンティブ”(まとめ作者がページビュー数などに応じて得られる報奨金)を稼ごうとしてしまう」課題があった。外部メディアとの連携には、こうした不正利用者をけん制する狙いもあるという。

 「コンテンツの権利者であるメディア企業としては、NAVERまとめと連携することで“ここまでは転載OK”、つまりそれ以外はダメということを示せるようになる」(島村さん)。今後も新聞社を中心にメディア企業との連携を進めていく。転載の許諾範囲などは各社と相談しながら決めるという。

 昨年には、ブログメディア「日刊サイゾー」の記事がNAVERまとめに全文転載され、運営側が削除するという事件も起きた。「一部ユーザーの不正利用によってPVが増えても当社にとってはメリットがなく、サービスへのイメージが悪くなるだけ」(島村さん)。今後もコンテンツ提供者との連携を強化し、NAVERまとめのイメージ向上にもつなげる考えだ。

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