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キンコン西野氏が火種 「コンテンツ無料化は、作家を殺す」のか? マンガを例に考える(1/4 ページ)

» 2017年01月24日 10時46分 公開
[新崎幸夫ITmedia]

 お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんが1月19日、3カ月前に発売したばかりの絵本「えんとつ町のプペル」をWeb上で無料公開した。これがきっかけで、Web上の一部で、賛否両論の論争が起きている。

画像 Webで公開された「えんとつ町のプペル」冒頭部(Spotlightより)

 反対派の主張のうち、代表的なのは「コンテンツの無料化は、作家を殺してしまう」というもの(※)。コンテンツが有料販売されなければ、産業全体が衰退し、結果としてクリエイターの収入が減少する、としている。

 ただ、そうとばかりも言えない事例もある。特に国内では、マンガコンテンツにおいて作品の「無料化」、および「フリーミアム化」の事例が豊富だ。いくつか見てみよう。

※西野さんへの批判は多岐にわたるが、本稿では、コンテンツの無料化がクリエイターの収益にもたらす影響にのみ、焦点を当てる。

「一物二価」が成立するマンガコンテンツ

 人気作品の無料公開というと、すぐ思いつくのは「ワンパンマン」だろうか。「となりのヤングジャンプ」で、かなりの量を無料公開している。最初の3話が無料……だとか、最新2話だけ読める……というレベルではなく、1月24日現在で、99話が読める。

画像 「となりのヤングジャンプ」公式サイトの「ワンパンマン」1話より

 これは、ワンパンマンの成り立ちに原因があるかもしれない。同作品はもともと、Webマンガ界の鬼才、ONEさんが無料公開していたものだ。これを、「アイシールド21」で知られる村田雄介さんが、圧倒的画力でリメイクした。どちらもWeb上で公開されているが、紙の単行本で売れているのは「村田さんリメイク版・ワンパンマン」の方だ。

 ワンパンマンの発行部数を調べてみると、2015年末で公称・650万部とのこと。その後、さらに数字を伸ばしているとみられる。

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