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2017年06月12日 17時45分 UPDATE

マストドンつまみ食い日記:1000人規模インスタンスがVR、VSTでマストドンを拡張 マストドン会議3レポート その3

3つの個性的なインスタンスがそれぞれの運営方針を披露した。

[松尾公也,ITmedia]

 マストドン会議3レポートの3回目は、インスタンス管理人座談会を中心にお届けする。登壇したのは、Interop Tokyo 2017の「マストドン」ブリーフィングにも出席した大阪丼管理人のalarkyさん、VOCALOIDを中心としたインスタンス「ボカロドン」管理人のTOMOKI++さん、そして、ポッドキャストbackspace.fmのインスタンスであるグルドン運営チームから松尾(ぼく)という3人。

 いずれもユーザー数が1000人台の、日本では10〜30位あたりに属する中規模インスタンスだが、その特徴、発言の流れ、運営方針は大きく異なり、それだけに意見交換も実に有用だった。

VRビューもサポートする大阪丼

 大阪丼は4月15日にスタート。2日後には大阪弁ローカライズを開始、大阪弁をデフォルトとすることで自然と口語体になり「オンラインの立ち飲み屋」的なくだけた雰囲気になってきたという。

 5月16日に独自機能として「VR大阪丼」を実装。タイムラインの投稿が3D的に表示されるもので、スマートフォンで見ると、ジャイロの動きに応じてトゥートがグリグリと動く。VR HMDへの対応も検討中。

photo VR大阪丼

 関西の近隣インスタンスとの連合タイムラインなども模索しており、そのあたりの情報は本日、大阪で開催されるマストドン会議4で出てくる予定だ。

音楽作りに役立つボカロドン

 ボカロドンは、音楽を作る人だけのインスタンスではない。元々はボカロPと呼ばれるVOCALOID楽曲制作者が中心だったが、意図的に絵師、動画師を呼び込んだ。その結果、これまで半ば引退していた人がボカロ曲作りに復活したり、コラボが生まれ、コンピレーションアルバム作りが盛んになったりと、インスアンスに与えられた刺激が奏功している。

 やり方が手馴れているなと思って聞いたところ、もともとOpenPNEというmixiクローンのコミュニティ運営経験があるそうで、そのノウハウが生かされている形だ。ユーザー分析や、初めてインスタンスに参加した人のケアもしっかりやっている。

 独自の機能として、音楽制作に使われるソフト、DAWの標準的なプラグイン形式であるVSTでタイムライン(ローカル+ホーム)を表示したり、音楽を作っているときにダミーの応援トゥートが流れる「Vocalodon VST」を開発している。GarageBand、Logic Pro Xユーザー向けにはAudioUnitsプラグインも計画中だ。

photo 応援メッセージも流れる(ただしダミー)

 さらに、絵師向けのPhotoshopプラグインも準備している、すごい開発力を備えたインスタンスだ。

ポッドキャストライブでグルドン

 グルドンは、テック系のポッドキャストbackspace.fmリスナー向けのコミュニティインスタンスだ。執筆時点でのユーザー数は1600を超え、日本のインスタンスとしては14位。

 特徴は、週に2回のペースで行われるライブ配信に合わせて新規ユーザーの募集をかけ、同時にタイムラインでその感想や話すネタのリンクが自発的にトゥートされる点。次回のエンディング曲で使ってほしい歌詞が提案されたりもする。インスタンスを立てる前はTwitterのハッシュタグを使ってフィードバックをもらっていたが、現在はほぼグルドンへの移行が完了し、ライブ配信時の反応はグルドンのみに集約されるようになった。

 「散財」というキーワードも大きな特徴。ポッドキャスターのドリキンがやたらにガジェットを買い続けるのでそれに影響を受けてみんなも何かガジェットを買うとそこで報告(懺悔)する風習ができている。

 インスタンスは米国のクラウドサービスであるDigital Oceanを使い、月額40ドル+数ドルの範囲で運用中。ライブ中には1時間単位でサーバをアップグレードしてスパイク対策をしている。この運営費をまかなうためにステッカーの販売も始めた。最初の50枚は数秒で、次に200枚を販売したときも10分程度で売り切れるなど、運営支援の有効な手段として手応えを感じつつある。

ユーザーローカルがリアルタイム検索を立ち上げた理由

 ユーザーローカルがマストドンに飛びついたのは非常に早かった。企業としてマストドンサービスを立ち上げたのは最速で、最初はユーザーランキングを発表、最近ではリアルタイム検索にも乗り出した

 いずれもマストドン自体が備えていない機能で便利ではあるが、一部からは「不要」「マストドンにはそぐわない」との批判もある。

 ユーザーローカルの伊藤将雄社長はマストドンの現状を分析することで、その理由を説明した。

 同社は得意とするデータ解析をマストドンにも適用。そこでわかったことは、国内ユーザー数は40万人とされているが、ゴールデンウィーク以降はほぼ増えていない。

 mstdn.jpなどの大規模で汎用のインスタンスでは、同じ趣味の人を見つけられずに脱落していく人が多いのではないかと推測。マストドンの場合、タイムラインで追えない投稿はハッシュタグで知るしかないが、90%以上の投稿にはハッシュタグがついていない。

 そこで、ヤフー!を参考にリアルタイム検索のシステムを構築。画像だけの検索が可能で、検索除外申請も受け付けている。また、グラフによる検索件数の視覚化、ポジティブ・ネガティブな投稿例、関連性が高いキーワードなどが追加された。これらは新入社員研修の一環として行っているという。

photo マストドン会議、関連キーワードの2位は「クソリプ」

 伊藤社長は「ユーザー数は日本でもTwitterの100分の1で、ビジネスになるレベルではないし、最近は沈静化している」と冷静に分析するが、「いったんすたれて復活するのはSNSではよくあること」とポジティブな見方も示した。

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