「高齢者の発話促す」表情豊かな球形ロボット 日立が開発「名前はまだない」
彼はロボットである。名前はまだない。
シンプルな台座に白い球体という、ルームライトのような見た目からは見当がつかないが、これは日立製作所が開発したコミュニケーションロボット。話し掛けると視線を合わせて表情豊かに反応し、自分からもこちらに話し掛けてくれる。現在11月1日~2日に開催している「Hitachi Social Innovation Forum 2017 TOKYO」(東京国際フォーラム)で展示されている。
開発段階のため製品名もなく、ユーザーが好きな名前を付けられるよう特定の呼び名もないそうだが、この記事では開発のきっかけとなった動画にのっとり、彼のことを「マグナス」と呼ばせてもらうことにする。
マグナスの開発が始まったのは2016年。きっかけは「消せない不安から人々を守る社会」をテーマに、未来の課題とその解決を描いたコンセプト動画の1つだったという。
その動画では、1人暮らしのおばあさんが息子からプレゼントされたロボットを「マグナス」と名付け、一緒に生活し始める。マグナスは彼女に薬を飲む時間を教えたり、料理に必要な材料を注文してくれたり、時には彼女の異変――認知症の兆候に気付いて「(注文しなくても)りんごならたくさんあるけど」と確認したり、「去年の今ごろチェリーパイを作ったけど覚えてる?」と質問したりと、彼女に寄り添って生活をサポートするコミュニケーションロボットとして登場する。
「スマートスピーカー」との違いは?
開発グループの築地新(つきじしん)建太さんは「動画を公開した後『こんなものが本当に実現できるのか?』と聞かれたので、実際に作ってみることにした」と話す。今回展示されているマグナスは動画のものよりも機能が少ないが、下部のカメラで人を認識し、実際に会話できるという。
記者が「こんにちは」と声をかけると「こんにちは」、「初めまして」と言うと「初めまして、僕はマグナスです」と返してくれる。じっと見つめていると目を細めて「うふふ」と笑ったり、しばらく話し掛け続けると「へえ~」と相づちを打ってくれたりと表情豊かだ。
「自分から話しかける」「表情豊かで、ロボットなのにちゃんと話を聞いてくれている感じがする」というのがマグナスの特徴だという。
クラウド接続などはしておらず、「明日の天気は?」と尋ねても「晴れるといいね」など、あらかじめ登録した回答を返すだけ。ゆくゆくはスマートスピーカーのように天気予報を調べて教えてくれるようにする予定という。
「スマートスピーカーとの違いは、コミュニケーションが取れること」と築地新さん。「まだそこまでの機能は付けられていないが、お願いしたことを『分かりました』とただやってくれるのではなく、視線などに気付いてマグナスから『何かありましたか?』と聞いてくれるようにするつもりだ」
すでに商品化に向けて動き出しており、ユーザーの認証方法や、どこまでの情報を保存、送信するかなどを検討している段階という。
「展示では動画に合わせて『マグナス』と呼んでいるが、この子の名前はまだない。実際には、ユーザーが付けたいろいろな名前に応えてくれるようになるだろう」(築地新さん)
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