ロボットの技術検証を目的に東京国際空港(羽田空港)で行っている「羽田空港ロボット実験プロジェクト」の第2期実施が発表された。今回導入されるロボットは、警備ロボット1台、物流ロボット2台、翻訳ロボット4台の計7台。実施期間は、12月13日から2018年2月9日まで。
このプロジェクトは、羽田空港を管理・運営する日本空港ビルデングが16年に設立した「Haneda Robotics Lab」によるもの。採択したロボットのうち、警備ロボット分野は綜合警備保障(ALSOK)の「Reborg-X」のみ。物流ロボット分野ではアルテックの「OTTO100」と「OTTO1500」、NECネッツエスアイの「Relay」が、翻訳ロボット分野ではドーナッツ ロボティクスの「cinnamon」、電通ライブの「ヒアラブルデバイス(プロトタイプ)」、ティファナ・ドットコムの「KIZUNA」、タケロボの「Robocot」を採用した。
ALSOKの「Reborg-X」を同プロジェクトに採用したのは2回目。前回は案内ロボットとしての採用だったが、今回は現在警備員が行っている巡回警備を任せるという。センサーによって、夜間などの照明が落ちた状態でも警備可能なことから期待が寄せられている。
物流ロボット分野の2社のロボットは、それぞれ違う用途で使うことを想定。お客さんのスーツケースや空港内のバックヤード(お店への商品搬入など)といった比較的大きなものを運ぶ「OTTO」と、ラウンジの中での活用を想定し小さなものを人から人へ運ぶ「Relay」だ。
翻訳ロボット分野は、主に翻訳の精度やレスポンスを検証するのが目的。ヒアラブルデバイスは、マイクとスピーカー内蔵の耳に付けるタイプのデバイスで、位置センサーによってどのスタッフがどの案件でどこにいるのかといったログが取れる。業務オペレーションの改善にも役立てたいとしている。
応募は、警備をロボットが5社、物流ロボットが4社、翻訳ロボットが7社の計16社あったという。
プロジェクトの最終的なゴールは2つで、(1)生産性やサービスレベルなどをみて、ロボットがやった方がいい業務と人間がやった方がいい業務を精査することと、(2)人材流出、再雇用、教育に関わるコストの最小化や人件費といったコストの削減だ。その背景には、旅客需要の増加や労働力確保、サービスレベルの維持(世界の空港や航空会社の評価を行っているSKYTRAX実施の「Global Airport Ranking」で最高ランクを維持し続けること)などがあるという。
この取り組みは、「ロボット活用は、労働力の手助けに不可欠」との思いから始まったプロジェクト。年間8000万人以上が利用する羽田空港で実証実験を行うことで、ロボットの技術面・法規面において課題を洗い出し知見の共有を目指す。
第1期(16年12月〜)で行った17種類のロボットの実証実験は、現在も実導入を目指し継続中。実証実験中の短期間の動作では安全性や故障といった大きな問題点もなく、数種類のロボットは本格稼働を近々予定しているという。「課題は長期間動かすこと。そこで初めて問題点やデータが積み上がる」(担当者)
また、第1期で課題となった「ロボットを動かすためのプラットフォーム構築」については、「ロボット専用Wi-Fi回線の用意」「ロボットの管理、制御、連携環境の構築」「ログの収集」をすることで対応予定。
日本空港ビルデングは「ロボットを当たり前に使っている日本人を海外の人にどんどん見てほしい」とプロジェクトのイメージ図を提示した。
(太田智美)
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