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“PayPay祭り”とは何だったのか 激動の10日間を振り返る(1/2 ページ)

» 2018年12月17日 15時23分 公開
[村上万純ITmedia]

 わずか10日間で終了した、PayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」。12月4日に始まり、2019年3月末までの4カ月間行う予定だったが、利用者が殺到し、10日間で還元額が100億円に到達した。終了日の13日もシステム障害が発生するなど、混乱が続く中で祭りは幕を閉じた。

 多くの企業で冬のボーナスが支給され、店舗側も年末商戦に向けた準備のさなかにおける出来事だった。あっという間の10日間で何が起こったのか、いま一度振り返ってみたい。

ペイペイ PayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」は10日間で終了

初日にシステム障害、繰り返されるメンテナンス

 コード決済サービス「PayPay」の20%還元キャンペーンは12月4日にスタート。一定の確率で購入額の全額(10万円相当まで)が還元されるとあり、多くの人がこの祭りに飛びついた。

ペイペイ ソフトバンクやワイモバイルのスマートフォンユーザーは、10回に1回全額還元されていた

 昼休みに利用者が殺到したためか、初日の正午過ぎには障害が発生し、加盟店向け管理画面「PayPay for Business」やユーザーのアプリが利用しづらい状況に。Twitterでも「障害のせいで決済できなかった」「二重決済された」などの報告が見られ、キャッシュレス化のリスクも露呈した。

 混乱は止まらず、PayPay公式サイトの「お知らせ」欄には、不具合の案内が連日のように並んだ。12月13日には、TwitterでPayPayキャンペーンが同日に終了するという不明情報が出回り、トレンドには再びPayPay関連のワードが浮上。ユーザーが殺到したためかアプリが利用しづらい状況になり、午後6時ごろから緊急メンテナンスが実施された。

ペイペイ 連日不具合が起きていたPayPay

 PayPay社は「終了時にはお客さまにご迷惑が掛からない方法で告知をする」としていたが、実際はキャンペーン終了の2時間前である13日午後10時に突然告知を出した。最終日もアプリが利用しづらい状況が続き、ユーザーに不満が残る中での終了となった。

 度重なるシステム障害で決済インフラとしての不安も残したPayPay。現時点では他のモバイル決済サービスや現金との併用などを考えた方が良さそうだ。

ビックカメラに行列、レジは混雑

 PayPayは、居酒屋や家電量販店、コンビニエンスストアなどの加盟店で利用可能なコード決済サービス。中でも高額な電子端末やゲーム機などが購入できる家電量販店が注目を浴び、都内のビックカメラでは行列ができる店舗もあったようだ。

ペイペイ 家電量販店の加盟店舗。対応店舗は今後も拡大する

 Twitterでも、店員がPayPayの説明対応に追われレジが混雑する様子や、転売目的も含め高額なApple製品が多数購入されている旨が投稿されるなど、量販店は大にぎわいだった。

 PayPayの中山一郎社長はITmedia Mobileの取材に対し、「PayPayの名前が広まったこと」が成果だったと答えたが、確かに今回のキャンペーンは、普段モバイル決済サービスを使っていない人にもPayPayの存在を知ってもらうきっかけになっただろう。また、ユーザーに還元された100億円のPayPay残高を狙い、PayPayに加盟する店舗も増えそうだ。

 加盟店舗は、慣れないコード決済に戸惑うユーザーへの対応コストがかかる。第2、第3のキャンペーンに備え、店舗側もレジの混雑を少しでも緩和できるようスタッフを増員するなどの対応が必要といえる。

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