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RPAで仕事が変わる ロボットと始める働き方改革

「失敗しないRPA」のススメ 導入・運用で注意すべきポイントは?特集・RPAで仕事が変わる(6/6 ページ)

» 2019年02月08日 10時00分 公開
[小林啓倫ITmedia]
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その6:運用後のメンテナンスが重要

 このガバナンスの話は、運用のフェーズにも当てはまる。繰り返しになるが、RPAは既存システムやアプリケーションを操作することになるため、その対象に何らかの変化(画面レイアウトや遷移パターンが変わるなど)が生まれた場合はエラーが起きる可能性が高い。

 実際に運用が始まっても気を抜くことなく、随時RPAの実行状況を監視して必要な修正をかけていくことが求められる。

 「当たり前の話だ」と思われるかもしれない。しかし意外にも、運用やそれに伴うメンテナンスの問題を把握しないままRPA導入を進めるケースが多いのだ。RPAの本格展開に成功し、自動化される業務が増えれば増えるほど、このリスクも増大する。

 これを防ぐには、開発時と同様、ガバナンスをきちんと設計しておくしかない。単に設計して終わりではなく、それに基づいた実験、いわば「RPA避難訓練」も可能であれば実施しておくべきだろう。

 特に外部のエンジニアやコンサルを雇ってPoC(概念実証)やパイロットプロジェクトを行った場合、運用時のガバナンスが確立される前に、彼ら専門家が引き上げてしまうことがある。問題が起きたが誰も対処できないという事態は避けたいところだ。

 組織づくりの場合と同じように、ガバナンスは「まだ早い」ではなく、RPA導入プロジェクトの立ち上げ時から検討に着手すべき課題なのだ。


 RPAを導入・運用する際の主な注意点について、駆け足で解説してきた。もちろんここで指摘したことが全てではなく、自社の置かれた状況や、採用したRPA製品によってさまざまな課題が持ち上がってくるだろう。

 しかし困難に直面した場合も決して諦めないでほしい。RPAは急速に導入が進んでおり、導入・運用時のノウハウもどんどん蓄積され、RPAを導入した後のさらなる展開(AIのような高度な処理の追加)についても先が見えつつある。ぜひいまRPA活用に着手し、新たな働き方を切り開くことにチャレンジしてほしい。

著者プロフィール:小林啓倫(こばやし あきひと)

経営コンサルタント。1973年東京都生まれ、獨協大学外国語学部卒、筑波大学大学院地域研究研究科修士課程修了。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米Babson CollegeにてMBAを取得。その後外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業などで活動。著書に『FinTechが変える! 金融×テクノロジーが生み出す新たなビジネス』(朝日新聞出版)、『IoTビジネスモデル革命』(朝日新聞出版)、訳書に『テトリス・エフェクト 世界を惑わせたゲーム』(ダン・アッカーマン著、白揚社)、『シンギュラリティ大学が教える 飛躍する方法』(サリム・イスマイル著、日経BP社)など多数。


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