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> 連載 2003年10月31日 00:00 AM 更新

なぜ日本のホスティング業界は健全ではないのか?〜中堅業者からの告発と提言

前回、ホスティング各社のサービスの中身を取り上げて比較を行った。しかしそれだけではサービスの分かりにくさと問題点の、一部にしか到達できなかったように思える。今回はハイパーボックスの成り立ちそしてホスティングサービス会社がどのようにサービスを展開してきたかを聞く。

 前回、ホスティング各社のサービスの中身を取り上げて比較を行った。しかしそれだけではサービスの分かりにくさと問題点の、一部にしか到達できなかったように思える。今回はハイパーボックスの成り立ちそしてホスティングサービス会社がどのようにサービスを展開してきたかを聞く。

ハイパーボックス前史

「最初は海外のホスティングサービスの代理店でした」

 ハイパーボックスがその活動をはじめたのは1996年。アメリカでインターネットが完全商業化された翌年である。

「当時は国内のホスティングの価格はとても高価でした。安いところを探すと海外にならざるを得なかった。そこで海外のホスティングサービスの代理店をはじめたのが、このビジネスをはじめたきっかけです。利用者の方が海外と直接のやりとりするのは何かと面倒ですし。この業界では海外のサーバーレンタルから始めたところも少なくない」

 1996年と言えばWindows 95ブームの翌年、Javaの誕生も同じ年のことである。一般ユーザー間でダイアルアップ接続がようやく普及してきた時代であり、常時接続などは高値の花だった。非常に大昔のようだが、まだ10年も経っていないのだ。

「代理店ビジネスは好調だったのですが、メンテナンスやサービスを自分たちでできないという歯がゆい部分がありました」と深田氏は懐かしむ。

 そこにホスティング業界興隆の引き金となる大イベントが起きた。

すべてはドメインの開放から始まった

 ドメインの歴史は1984年にDNSが導入されたことにさかのぼる。その後、NSF(National Science Foundation:全米科学財団)が1993年にInternetNIC(Network Information Center)業務を民間3社に委託。中でも登録サービスを担ったNetwork Solutions Inc.はその後ドメインを登録管理する業務を独占することとなる。しかも1995年、Network Solutions Inc.はドメインの登録と管理を有料化、ドメインの独占状態の是非が問題となる。

 その後ようやくアメリカ政府ホワイトペーパーによりドメイン登録の民間移行が勧告され、2000年に民間での管理が自由化した。DNSの管理代行をさまざまな企業が行えるようになった。

 この年、法人としてのハイパーボックスが誕生。この頃、ハイパーボックスのみならず、雨後のタケノコのようにホスティング会社ができた。それにしても深田氏はなぜホスティング会社を起業したのだろう?

「儲かりそうだったから(笑)。というのは半分冗談としても、大手が入り込めない市場になるだろうと考えたのですよ」

 とは言え、一般化するに従って大手が買収なりビジネスを広げるなりで市場を制覇していくのがITビジネスの常……などと筆者が考えていると、先手を打って深田氏が話し出した。

「(ハイパーボックスの)コンセプトは(一般的イメージとして)無料の世界であるインターネットでお金もらうことです。大手さんは同じことはできないと考えておりす」

「無料の世界」でお金をもらうということ。

「インターネットと言うのは本来ベースは無料であるべきなのです。それに付加価値をつけることで、ビジネスにしているわけです」

 なるほど。しかしそれは大手も中小も同じでは? と水を向けると、筆者の質問を見透かしたようにニヤリと笑いながら深田氏が続ける。

「私たちのサービスでは月額2000円のサービスから、メールアドレス無制限。転送データ量も無制限にしています。なぜならインターネットでは常識だから。メールアドレスの作成など大した作業ではありませんし、転送データ量も自分で回線を引いたら無制限ですよね。大手さんは意図的にサービスに制限をかけ、お金をとっているとしか思えないビジネスのやり方をしている」

 しかしそれではハハイパーボックスは、プランの差別化が難しくなってしまうのではないだろうか?

「弊社のホスティングのプランを見ていただければ分かるのですが、単に容量だけがプランの違いではありません。アンチウイルスやショップの管理ツール、複数ドメインの管理や特に容量を必要とされる方向けのプランなど、特徴のあるサービスを付加してご提供しております」

 確かに同社のプランはそれぞれに特徴がある。他社の場合、容量=プラン(そして価格)の違いとなっていたりする場合が多い。

「お客様がコストを払いたくなるような、サービスやサポートでビジネスをする。大手さんや他社さんと当社との決定的な違いはインターネットは無料だ、という原理原則を無視しないでビジネスを考え、実行しているところではないでしょうか」

他社は果たしてインターネットの常識で仕事をしているのか?

「あまり、お話ししたことはないんですが……」

 ええ、この際だからどうぞ。

「弊社はサービス支社を、サーバ設置場所のすぐ近くに置いております。弊社は24時間サポートですので、交代で寝泊まりして監視しています。おそらく大手も含めてこれぐらいのサポートを実施しているのは当社だけではないでしょうか?」

 ここまでの手厚いサービスは、確かに聞いたことがない。スタッフの方の健康が少々心配にはなるが。

「弊社は厳しい職場環境ですよ。大手から移ってこられて、3日もたなかった人もいたぐらい(笑)」

 いやはや、深田氏、笑いごとではないような。

「大手さんですと、インフラを持っていることだけでビジネス展開したり、中小だと不毛な値段競争に走ったり、言葉は悪いですが、業界全体がそういう安易な流れに走ってしまっている気がします。本来のインターネットの常識は無料の世界。自分たちが汗を流したり、付加価値を高めなければ、お金はもらえない、というのが私たちのホスティングビジネスに対するスタンスです」

 “インターネットの常識”という言葉は確かにその通りだ。ネットについての知識を知れば知るほど、ホスティングやプロバイダサービスでの値段設定やサービスに不満を感じてきたりするものだ。

 ハイパーボックスのビジネスのやり方は逆である。個人や中小企業ではとても出来ない管理、サービスを価値として提供し、それに対してお金を払ってもらう。同社の中心顧客が目の肥えた上級ユーザーというのもうなずける。

 さてインタビューは、ホスティングビジネスの裏側まで、次第に迫りつつある。

 次回は日本にホスティング業界の変遷を、サービスを中心に検証してみたい。

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[飯島俄ITmedia]

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