電気自動車を加速する横須賀市、充電器や電力制御装置にも補助金電気自動車

地方自治体の情報化で先進的な取り組みを続ける横須賀市が、電気自動車(EV)の導入を積極的に進めている。EV本体や充電器に加えて、EVのバッテリーから建物へ電力を供給するための制御装置についても補助金を提供する。

» 2012年05月01日 12時50分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 横須賀市は市内に主力工場をもつ日産自動車と連携して、電気自動車(EV)を普及させるための取り組みを加速させている。2012年度の予算で、企業向けのEV導入費のほか、EV用の充電器、さらにEVのバッテリーに蓄えた電気をオフィスや家庭に供給するための「電力制御装置(PCS:Power Control System)」を含む補助金制度を開始した。

ALT 図1 横須賀市が2011年2月から実施中のEVタクシー。出典:横須賀市役所

 EV本体の補助金は横須賀市内に事業所をもつ企業か個人事業主が対象で、タクシーやレンタカーをはじめ、一般の営業用として使う場合に申請できる。補助額は50万円だが、営業用の場合は20万円になる。市内で生産されたEVが対象になるため、事実上は日産自動車の「LEAF」に限定される。

 横須賀市は2011年2月から10台のLEAFを「EVタクシー」として市内のタクシー会社に無償で貸与して効果を検証してきた(図1)。新たに補助金を開始して「EVタクシー」や「EVレンタカー」の普及を促進する考えだ。

 さらにEVの利用者を拡大するため、充電器と電力制御装置に対しても補助金制度を開始した。対象者は同じく企業か個人事業主で、一般のEV利用者向けに充電サービスを提供する場合を想定している。補助率は機器の購入費や工事費などを含めた総額の5分の4で、急速充電器の場合は上限が100万円、普通充電器の場合は通信機能が付いていれば50万円、付いていなければ20万円までになる。

ALT 図2 LEAFのバッテリーに電力制御装置を接続して家庭などに電力を供給する。出典:日産自動車

 EVのバッテリーに蓄えた電気を事業所や家庭の電力として利用できるようにする「電力制御装置」に対しても50万円までを補助する。日産自動車が5月か6月に発売予定の「LEAF to Home」が対象になる(図2)。

 これに先立って横須賀市は5月中に、LEAFを生産する日産自動車追浜工場の近くにある「追浜行政センター」に「LEAF to Home」を設置して、災害時の非常用電源や夏場のピークカットに利用する。2012年度中には市内の行政センター7か所に「LEAF to Home」を導入して利用範囲を拡大する計画である。

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