ピークシフト型の電気料金が割安に、スマートハウスのメリット拡大へエネルギー管理

東京電力が9月から実施する電気料金の値上げの中で、時間帯別に単価が変わる「ピークシフトプラン」が割安に設定された。安い夜間の電力を活用することで電気料金の削減が可能になる。太陽光発電システムや蓄電池を備えたスマートハウスの利用効果も高まる。

» 2012年07月26日 12時16分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 夏の電力需要を抑制するための新しい料金体系が「ピークシフトプラン」である。東京電力をはじめ各電力会社が家庭・商店向けのメニューとして今年から提供を開始した。

 東京電力は6月1日に導入したものの、通常の契約プランと比べて単価が割高のため、移行する利用者は増えていないのが現状だ。そこで9月からの値上げにあたり、ピークシフトプランの単価を従来よりも割安に設定して利用者の拡大を図る。

 ピークシフトプランで時間帯が最も広い「昼間時間」の単価を4%の値上げにとどめて、通常の契約における「第3段階料金」(月間300kWh以上の使用量に適用)の単価よりも安くした。第3段階料金は9月から18%も値上げされて1kWhあたり29.10円になり、ピークシフトプランの昼間時間の単価28.18円を1円近く上回る(図1)。

図1 「ピークシフトプラン」の新・料金体系。出典:東京電力

 特に電力使用量が多い家庭や商店などでは、ピーク時間の電力を太陽光などの自家発電でカバーすることによって、通常の契約プランよりも電気料金を抑えることができる。さらに蓄電池を導入して、単価の安い夜間の電力を活用できれば、電気料金の引き下げ効果は増大する。

 今年に入って住宅メーカー各社が節電対応の「スマートハウス」の販売に力を入れている。太陽光発電システムと蓄電池を設置して、HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)で時間帯ごとの電力使用量を最適化することができる。

 電気料金を含めた光熱費を大幅に下げられることが最大の利点で、各社のスマートハウスの販売量は急速に伸びている。電力会社が割安なピークシフトプランを提供すればスマートハウスの導入メリットは大きくなる。

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