電力会社の太陽光発電が大幅に増加、9社で1200MWを超える電力供給サービス

政府の国家戦略室がまとめた今夏の電力需給の分析により、9つの電力会社すべてで最大需要が当初の想定を大幅に下回ったことが確認された。一方の供給面では電力会社による太陽光発電が予想以上に増えて、9社の合計で1200MW以上に達したことも明らかになった。

» 2012年10月12日 15時19分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 結論から言えば、政府が主宰する「需給検証委員会」の想定が実態から大きくかけ離れていた、ということに尽きる。需要を見通すうえで重要な「定着した節電」の比率を東京は10%強、九州は7%に設定したものの、他の地域は3%前後と低く見込んだことが最大の要因だ。

 実際には猛暑と言われた2010年の夏と大差のない暑さだったにもかかわらず、各地域の最大需要は北海道を除いて8.5%〜15.4%も減少した(図1)。来年の夏は今年の実績をもとに現実的な数値を「定着した節電」として織り込む必要がある。

図1 今夏の電力需要の分析(最大需要の単位は万kW)。出典:国家戦略室

 一方で電力の供給面において注目すべきデータが出てきた。電力会社による太陽光発電の実績値だ(図2)。9つの電力会社で最大需要が発生した日の太陽光発電の供給力を単純に合計すると、1210MW(121万kW)に達した。原子力発電所の1基分に相当する規模である。

図2 今夏の電力会社による太陽光発電の実績。出典:国家戦略室

 この太陽光発電の供給力に関しても、需給検証委員会の想定は的外れだったことがわかる。想定値は350MW(35万kW)で、実績値の3割以下である。分析結果の説明資料には「今夏の日照時間は東日本を中心に長く、日射量に恵まれたことによる供給増」と書かれているだけで、大きな誤差が生じた要因は説明されていない。

 需給検証委員会は同じメンバー構成で継続しており、10月24日には今冬の需給見通しをまとめることになっている。その結果を信頼してよいのか、今夏の状況を見る限り、不安が残る。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.