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» 2012年10月16日 09時00分 UPDATE

日本列島エネルギー改造計画(5)秋田:バイオマスで全国1位、風力と地熱も増やして自給率100%へ

米どころの秋田は稲わらや木材を使ったバイオマス燃料の開発に積極的で、バイオマス熱の供給量は全国でナンバーワンだ。さらに風力と地熱の大規模な発電所が複数あり、新たな建設計画も着々と進んでいる。2030年には県内のエネルギー自給率を100%にする目標を掲げる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 東北の各県は地の利を生かした再生可能エネルギーの導入で先行している。その中でも秋田県は太陽光を除く主要な再生可能エネルギーすべての取り組みで全国のトップレベルにある(図1)。

ranking_akita.jpg 図1 秋田県の再生可能エネルギー供給量(2010年3月時点)。出典:千葉大学倉阪研究室と環境エネルギー政策研究所による「永続地帯2011年版報告書」

 バイオマス熱の供給量は1位、地熱発電は2位、風力発電は4位、といった状況だ。再生可能エネルギー全体の供給量でも、地熱発電が多い大分県に次いで2番目の規模を誇る。

 秋田でバイオマスの利用が盛んな理由は、県の特産物によるところが大きい。秋田スギで有名な林業では間伐した木材や製材後の端材が数多く出る。ブランド米の「あきたこまち」を刈り取った後には大量の稲わらが残る。いずれもバイオマスの材料として効率のよい資源になる。

 特に秋田では稲わらや木材を繊維質のセルロースにしてから燃料を生成する「バイオエタノール」の実証実験に力を入れて取り組んでいる(図2)。2015年には通常のガソリンに10%までバイオエタノールを混合した燃料「E10」を実用化し、さらに2030年にはバイオエタノール100%の「E100」を実現する計画だ。今後もバイオマスの分野では秋田県が日本をリードしていくことになる。

biofuel.jpg 図2 バイオマスによるバイオエタノールの製造工程。出典:秋田県生活環境部

 バイオマスの拡大と並行して、地熱発電所と風力発電所の誘致も積極的に進めている。すでに秋田県内では大規模な地熱発電所と風力発電所が稼働しており、地熱と風力ともに適した地域であることが証明されている。

 地熱では大分県の八丁原発電所(112MW)に次いで2番目に大きい澄川地熱発電所(50MW)と上の岱地熱発電所(29MW)があり、いずれも東北電力が運営している。風力では10MW以上の大規模な発電所が4か所ある。つい最近でも住友商事グループが2014年末の完成を目指して29MWの風力発電所を男鹿市に建設する計画を発表している。

 秋田県の中長期の目標として、風力発電を2013年度までに200MWへ、さらに2020年度までに624MWへ拡大して、2009年度の約5倍の規模にする(図3)。同時に地熱発電も2倍以上に増やす計画だ。再生可能エネルギーによる経済効果は売電による収入だけで2013年度に40億円、2020年度に370億円を見込んでいる。

target_akita.jpg 図3 再生可能エネルギーの目標値(バイオマスは含まず)。出典:秋田県産業労働部

 そして2030年には県内のエネルギーを100%自給できる「地産地消エネルギーシステム」の実現を目指す。この構想に向けて日本最大の干拓地である大潟村で、2010年から2011年にかけて大規模な実証実験が経済産業省のモデル事業として行われた。

 風力発電をはじめとする再生可能エネルギーや燃料電池などを電力源にして、送配電ロスの少ない直流を使って住宅や学校などに電力を供給する取り組みである(図4)。気象条件の点で大潟村が実験対象地に選ばれた。秋田県がエネルギーの地産地消を推進するのに適していることを示している。

dcgrid_meti_tohoku.jpg 図4 「地産地消エネルギーシステム」のイメージ。出典:経済産業省東北経済産業局

2014年版(5)秋田:「日本海沿岸に100基を超える風力発電、買取制度では全国トップ」

2013年版(5)秋田:「巨大な干拓地で風力から太陽光まで、潜在するバイオマスと地熱も豊富」

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