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» 2012年10月24日 09時00分 UPDATE

蓄電・発電機器:今すぐ始めよう!冬の節電対策 −ガスコージェネ編−

冬は暖房のほかに給湯でも多くの電力を使う。その点で電力と熱を同時に作り出すガスコージェネレーションは効率的だ。家庭用の「エネファーム」が人気だが、発電能力が大きいシステムはオフィスビルや工場などに適している。冷房も可能で、年間を通じた節電対策にもなる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 「CO2排出、原発停止で増」「11年度、省エネ努力打ち消し」――。日本経済新聞の10月19日付の朝刊1面トップに、こんなショッキングな見出しの記事が大きく掲載された。各地で原子力発電所が停止して、電力会社が火力発電を増やした結果、購入した電力によって企業のCO2排出量が増加してしまった、と書かれている。

 相変わらず大手の新聞は原子力発電の擁護論を展開しているが、この記事の中に原発とは関係ない注目すべき指摘があった。東芝や日産自動車でCO2排出量が増加したのに対して、JFEスチールでは減少しており、コージェネレーションなど自家発電設備の利用効果だという。

工場で使う大型から、店舗で使える小型まで

 ガスを使って発電するコージェネレーションは、電力会社からの電力購入量を大幅に削減する手段になる。ガスで発電した電力を使うだけではなく、同時に発生する熱を使って冷暖房や給湯が可能になり、ダブルで節電効果があるからだ(図1)。

cogen1_jga.jpg 図1 ガスコージェネレーションの種類と用途。出典:日本ガス協会

 ガスコージェネレーション(以下ガスコージェネ)には工場などで使う大型のシステムから、店舗や家庭で使える小型の製品まである。大型は火力発電所の仕組みと同様のガスエンジンやガスタービン、小型は自動車にも搭載できる燃料電池を使って電力と熱を発生させる。

 ガスコージェネは夏でも冬でも有効だが、特に給湯量の多い冬のほうが節電効果は大きい。夏に冷房で使うためには、熱を冷気に変えるための冷凍機を組み合わせる必要があり、最初は暖房と給湯から利用するのが一般的だ。

電力と熱のバランスで製品を選ぶ

 ガスコージェネを選ぶ際の重要なポイントは、電力と熱をどのくらいの比率で使い分けるかを決めることである。ガス会社などが販売している一般的な製品は、発電量を多くしたタイプ、逆に発熱量を多くしたタイプ、あるいは中間的なものの3タイプに分かれる。

 給湯の需要が大きい場合には、熱を重視したタイプを選ぶケースが多い。例えば病院やホテル、レストランや家庭も当てはまる(図2)。給湯の需要が小さい事務所や店舗などには、電力を重視したタイプの製品が向いている。

usermap_jga.jpg 図2 電力と熱の需要比率によるガスコージェネレーションの適用分野。出典:日本ガス協会

 実際に製品のカタログを見ると、「発電効率」と「熱回収効率」が記載されていることが多い。この2つの数字は、燃料となるガスから電力と熱にどのくらい変換できるかを示したものである。

 発電効率の高い製品だと40%前後、低いものでは30%前後が多い。熱回収効率は30〜55%程度になる。両方を合わせると70〜85%になり、単純にガスを発電だけに使う場合と比べて約2倍のエネルギー効率を発揮できることになる(図3)。結果としてCO2の排出量を半減する効果もある。

benefit_togas.jpg 図3 ガスコージェネレーションのエネルギー効率とコスト。出典:東京ガス

電力を多く使う場合にコスト削減効果が大きい

 ガスコージェネを導入することによって、電力会社から購入する電力量は間違いなく大幅に減る。電気料金だけではなくガス料金を合わせた光熱費全体を引き下げることも可能になる。

 では実際に、どのくらいのコスト削減につながるのか。当然ながら利用形態によって変わってくるが、大型のコージェネ設備を導入した場合のコスト削減効果を資源エネルギー庁が分析している(図4)。

 それによると、給湯や暖房など熱の需要が大きくて燃料費の比率が高い場合には、設備の導入コストをカバーできない可能性がある。対して電力の購入費が高い場合には、確実にコストを回収して光熱費を下げることができる。要するに光熱費に占める電気料金の割合が1つの判断材料になるわけだ。

benefit_enecho.jpg 図4 コージェネレーション設備の導入による光熱費の変化。出典:資源エネルギー庁

 最後に、ガスコージェネの導入にあたって大きな課題がある。法令によって各種の届け出が義務づけられていることだ(図5)。特に発電規模が大きい設備を導入する場合には、「電気主任技術者」を選任して届け出なくてはならない。

 ガスコージェネは小型のシステムで最低3か月、大型だと6か月以上の準備期間を見込んでおく必要がある。導入メリットを期待できる事業所や店舗では、たとえ今年の冬には間に合わなくても、来年の夏以降に向けた節電対策として、今すぐ検討を開始すべきだろう。

law_jga.jpg 図5 ガスコージェネレーションに適用される法令。出典:日本ガス協会

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