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» 2012年11月01日 09時00分 UPDATE

日本列島エネルギー改造計画(10)群馬:バイオマスを徹底活用、畜産資源から生ごみ・排水まで

隣の栃木県と同様に群馬県でも小水力発電が盛んだが、近年になって特に力を入れて取り組んでいるのがバイオマスである。豊富にある畜産資源などを活用したバイオマス発電は全国でも先進的で、2021年までの10年計画を通じて用途を拡大しながら発電量を増加させる計画だ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 群馬県で生み出される再生可能エネルギーは小水力発電が全国で第4位、さらにバイオマス発電も同じく第4位の規模になっている(図1)。小水力発電では栃木県と同様に農業用水路を活用した取り組みのほか、大量の水を扱う浄水場や下水処理場などでも数十kWレベルの発電が実施されている。

ranking_gunma.jpg 図1 群馬県の再生可能エネルギー供給量(2010年3月時点)。出典:千葉大学倉阪研究室と環境エネルギー政策研究所による「永続地帯2011年版報告書」

 こうして着実に拡大する小水力発電に加えて、注目すべき取り組みがバイオマスの分野で進められている。群馬県は再生可能エネルギーを拡大するプロジェクトの一環で、2012年3月に「バイオマス活用推進計画」を発表して、10年後の2021年までの目標と具体策を明らかにした。

 群馬県が分析したバイオマスの利用可能量は年間で500万トンにものぼるが、その3分の2を畜産資源が占めている(図2)。さらに排水資源や生ごみなどの食品資源も発電に使える可能性が多く残っている。

biomas_gunma1.jpg 図2 バイオマスとして利用可能な資源。出典:群馬県企画部

 特に発電量が大きく見込める畜産資源は家畜の排せつ物である。例えば県庁所在地の前橋市にある養豚事業者では、家畜の排せつ物からメタンガスを作り出し、そのガスを使って発電するシステムが出来上がっている(図3)。

biomas_gunma2.jpg 図3 畜産バイオマスエネルギーの利用事例。出典:群馬県企画部

 規模の大きな養豚事業者だと1日あたり100立方メートルのバイオガスを生成することができて、2000kWh程度の発電量が可能だという。発電した電力は主に自家利用で、畜舎の電力として活用している。かりに固定価格買取制度で電力会社に販売すれば、1kWhあたり39円の単価が適用されるため、1日に8万円程度の収入になる。畜産事業者にとっては有益な収入源にもなり得るわけだ。

 群馬県は家畜排せつ物からのエネルギー供給量をさらに拡大するために、地元の群馬大学や有力企業などと共同で新しい技術の開発も進めている。ガスを作るプロセスを改善することで、より多くの電力と熱を生み出せるようにする(図4)。

biomas_gunma3.jpg 図4 家畜排せつ物を利用した低温ガス化・高効率エネルギー変換技術。出典:群馬県企画部

 すでに実証実験が始まっており、今後はシステムの規模を徐々に拡大していく予定だ。2014年まで実証実験を続けた後、2015年度から県内の畜産事業者に設備を広めていく計画になっている。

 畜産資源を中心に、稲わらなどの農業資源、木材の残りなどの木質資源、さらには排水や生ごみを含めて、群馬県では2021年の時点でも460万トンの膨大なバイオマス資源が残る見通しだ。このうち81%を再利用できるようにする目標を打ち出している(図5)。

 バイオマス資源のうち約4割を占める家畜排せつ物は、2010年に再利用された分のほぼ100%が堆肥だった。2021年までには全体の10%を燃料などに転換する計画で、その多くを新たに開発する低温ガス化技術が担うことになる。

target_biomas.jpg 図5 資源別のバイオマス利用目標(2021年)。出典:群馬県企画部

2014年版(10)群馬:「日本で最高に暑い地域に、先駆けのメガソーラーが集まる」

2013年版(10)群馬:「利根川の流域に広がる水力発電、世界最大級の揚水式から小水力まで」

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