スマートメーターが大きく前進、2013年5月から開発・生産に着手エネルギー管理

東京電力が2023年度までに企業と家庭を含む2700万すべての利用者に設置を計画しているスマートメーターの開発が本格的に動き出す。最も重要なスマートメーターの通信機能に関して開発会社の公募が始まった。2013年4月までに仕様を確定して、5月から開発作業に入る。

» 2012年11月21日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 いよいよ日本の電力ネットワークを変革する開発プロジェクトが進み始めた。企業や家庭の電力使用量をリアルタイムに収集できるスマートメーター(図1)の設置に向けて、東京電力が通信機能の開発会社の公募を開始した。

図1 東京電力が設置するスマートメーターのイメージ。出典:東京電力

 最大の要件は1000万台以上のスマートメーターを連携させるネットワークを開発・運用できることで、NTTグループを含む大手のシステムインテグレータ数社の中から選ばれる可能性が大きい。2013年2月まで提案を受け付け、4月までに開発会社と仕様を決める予定だ。

 東京電力は2014年度からスマートメーターの設置を本格的に開始し、2018年度までに1700万台、2023年度までに2700万台の設置を完了して全利用者の電力使用量をネットワークで収集できるようにする計画である。

 実際にはスマートメーターの通信ネットワークは大きく分けて3つある。第1はスマートメーターと電力会社のシステムを結ぶネットワークで、「Aルート」と呼ばれている。今回開発に着手するのは、このAルートである。スマートメーターの通信機能を含めて一体的に開発を進める(図2)。

図2 スマートメーターの通信ネットワークの開発範囲。出典:東京電力

 このほかにスマートメーターと家庭内・企業内の電気機器を結ぶ「Bルート」、さらに電力会社が集計したデータを使って各種のサービスを提供するための「Cルート」の開発が残されている。中核になるAルートの開発に続いてBルートとCルートの開発も順次進んでいく。

 東京電力は2014年度〜2023年度の10年間でスマートメーターを全利用者に設置する計画だが、このうち最初の3年間はスマートメーターの調達も含めて開発会社に委託する。4年目以降は東京電力が複数のメーカーから調達してコストダウンを図る方針だ。このためスマートメーターに実装する通信プロトコルは国際標準のIP(インターネット・プロトコル)に準拠することが条件になる。

 政府は今後のエネルギー政策の一環として全国の企業や家庭にスマートメーターを急速に普及させ、4年後の2016年度末までに電力需要の8割をスマートメーターで管理できるようにする目標を打ち出している。これにより全国レベルで電力使用量を効率的に抑制するとともに、電力が不足する事態にも迅速かつ柔軟に対応できるようになる。

 東京電力以外の電力会社も同様にスマートメーターの設置を進めていく。その中で最大手の東京電力の開発動向は大きな影響力をもつことから、2013年4月に決定する通信機能の開発会社と仕様の詳細に注目が集まる。

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