メガソーラーの発電量が想定の65%、太陽光パネルの積雪が影響自然エネルギー

兵庫県の豊岡市が12月中旬から運転を開始したメガソーラーで、発電量が想定を大幅に下回っている。開始から2か月間の発電量は想定の65%にとどまり、この間の売電収入も100万円近く少なかった。故障などはなく、太陽光パネルの上に積もった雪が原因とみられる。

» 2013年03月07日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 豊岡エコバレー・山宮地場ソーラー。出典:豊岡市政策調整部

 豊岡市は兵庫県の北部にあって日本海に面している。冬には雪が降る日も多く、降雪量は例年3メートルを超える。太陽光発電に最適な土地とは言いがたいが、豊岡市は環境都市「豊岡エコバレー」のシンボルとして、市内の山間部にあったスキー場の跡地にメガソーラーを建設した(図1)。

 工期は2期に分かれていて、第1期の680kW分が2012年12月16日から運転を開始した。第2期の320kW分が完成するのは2013年秋の予定になっている。

 豊岡市は第1期の運転開始から2か月間の実績を公表したが、その結果は当初の想定を大きく下回っていた。発電量は12月16日〜2月15日の合計で、想定に対して65.1%にとどまった(図2)。特に12月が低くて55.6%、1月からは徐々に上昇して、2月は71.0%まで回復した。それでも想定を3割も下回る状況だ。

図2 発電量の想定(シミュレーション)と実績。出典:豊岡市政策調整部

 豊岡市の分析によると、太陽光パネルの上に積雪がなかった日は想定と同等以上の発電量を記録していて、積雪が見られる日に低下していた。建設時にパネルを30度の傾斜角で設置し、架台も1メートルの高さに設定して積雪対策を施していた。しかし3枚組で設置してある一番下のパネルの上は積雪で覆われることがあったという。

 この結果、売電収入も大幅に落ち込んでしまった。2か月間で306万円を見込んでいたところが、209万円にとどまり、100万円近い減収になっている(図3)。豊岡市は2012年度の予算で3億3000万円をかけてメガソーラーを建設しており、第2期の完成後は年間で3100万円の売電収入を計画している。市の財政のためにも発電量を回復させる必要がある。

図3 売電収入の想定(シミュレーション)と実績。出典:豊岡市政策調整部

 豊岡市は今冬のあいだは除雪しないで運転状況を検証して、来年度以降の対策を検討することにしている。今後も市内にメガソーラーを建設することは十分に考えられるわけで、市が率先して検証と対策を実施することは大いに意味がある。来年の冬には対策が効果を発揮して、想定並みの発電量になることを期待したい。

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