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» 2013年03月15日 15時00分 UPDATE

キーワード解説:次世代の電力量計「スマートメーター」

電気料金を値上げする動きが相次ぐ一方で、料金を安くできるサービスが続々と登場してきた。これからは対策を実施した利用者と、そうでない利用者の間で、電気料金に大きな差がつく時代になる。そこで電力の使用量を一定時間ごとに測定できる「スマートメーター」の役割が高まってくる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 企業や家庭の一部では、すでに電力メーターの交換工事が進められている。従来の電力メーターは自動車の走行距離メーターと同様に、積算した使用量を表示することしかできない。それを電力会社の検針員が月に1回チェックして月間の使用量を計算している。正確に1か月間の電力使用量を測定することはできない状況にある。

 最近は電力会社が時間帯別料金などの新しいメニューを始めたことで、少なくとも1時間単位の使用量を測定できるメーターが必要になってきた。そこで「スマートメーター」の登場である。

 いまのところスマートメーターの定義は明確に決まっていないが、必須の条件が2つある。1つは電力の使用量をリアルタイムに計測できること。ただしリアルタイムとは言っても一定時間ごとにデータを記録できれば十分で、国内では30分間隔が当面の標準になる。

smartmeter_toden1.jpg 図1 スマートメーターのイメージ。出典:東京電力

 もう1つの条件は、記録したデータを通信ネットワーク経由で電力会社などに送信できることである。せっかくリアルタイムに計測したデータでも、即座に利用できなければ宝の持ち腐れになってしまう。ということで、スマートメーターは「計測」と「通信」の機能を備えた次世代の電力量計である(図1)。

 すでに全国で設置が始まっているスマートメーターだが、実装されている機能や仕様は電力会社によって違いがあるようだ。

 これから大量のスマートメーターが各地に広まっていく。本来は電力会社が統一の仕様を決めて公開し、それをもとに多くのメーカーが自由に製造できれば、コストが下がり、地域を越えた共通のサービスも簡単に利用できるようになる。

 ところが現時点では個々の電力会社が仕様を決めていて、必ずしも統一されていない。政府は2016年度までに国内の電力需要の8割をスマートメーターで計測できるようにする目標を掲げていて、それに合わせて電力会社はスマートメーターの設置を加速させる計画だ。できるだけ早く仕様を統一することも政府の役割と言える。

 特に仕様の統一が重要になるのは、通信の部分だ。これが各社でバラバラの状態になってしまうと、スマートメーターから送られてくるデータを処理するためのシステムの開発・保守が複雑になるほか、提供できるサービスが広がっていかない。

 スマートメーターの通信ネットワークは3つの領域に分かれていて、それぞれで仕様の統一が必要になる。この3つのネットワークを電力会社などでは「Aルート」「Bルート」「Cルート」と呼んでいる(図2)。

smartmeter_toden2.jpg 図2 スマートメーターを中心にした通信ネットワークの全体像。出典:東京電力

 Aルートはスマートメーターと電力会社をつなぐもので、Bルートはスマートメーターと企業や家庭の機器をつなぐものである。もうひとつのCルートは電力会社に集められたスマートメーターからのデータを他のサービス事業者に送るためのネットワークである。

 このうち仕様の標準化が進んでいるのはBルートで、「ECHONET Lite」と呼ぶ日本独自の標準規格が決まっている。最近はECHONET Liteに準拠したエアコンやLED照明などが発売されるようになり、スマートメーターとデータをやりとりできるようになってきた。

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