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» 2013年05月27日 09時00分 UPDATE

法制度・規制:日本最大を目指した六ヶ所村の風力発電所、鳥類の保護を優先して規模縮小

大規模な風力発電所が集まる青森県の六ヶ所村で、新たに100MW(メガワット)を超える日本最大の風力発電所を建設するプロジェクトが進んでいた。しかし近隣に生息する鳥類の保護を優先して、発電設備を42基から19基へ半分以下に縮小。そのうえで環境影響評価を開始する。

[石田雅也,スマートジャパン]

 建設計画を縮小したプロジェクトは、日立造船が六ヶ所村で進めている「むつ小川原風力発電事業(仮称)」である(図1)。六ヶ所村は国内で唯一の核燃料サイクル施設がある場所として有名だが、実は日本最大の風力発電所の集積地でもある。一方で湖や沼が数多く分布する自然に恵まれた地域で、さまざまな鳥類が生息している。

mutsu1_sj.jpg 図1 風力発電所の建設予定地。出典:環境省

 当初の計画では、核燃料サイクル施設の東側一帯に、太平洋岸まで含めた5つのブロックに42基の大型風車を建設する予定だった。1基あたり3MW(メガワット)で合計126MWに達し、島根県で稼働中の「新出雲ウインドファーム」(78MW)を抜いて日本で最大の規模になる。

 ところが建設予定地の周辺には複数の沼があり、希少な鳥類の生息・渡来地になっていることから、計画変更を求める声が上がっていた。これを受けて日立造船は沼に囲まれた2つのブロックを計画から除外して、太平洋岸の3ブロックに19基を設置する形に変更した(図2)。

mutsu2_sj.jpg 図2 発電設備の設置計画。左が変更前、右が変更後(画像をクリックすると拡大)。出典:環境省、日立造船

 風力発電所を建設するにあたっては、国や自治体とのあいだで3段階にわたる環境影響評価のプロセスを実施しなくてはならない。日立造船は2段階目に必要な「環境影響評価準備書」の中に計画の縮小案を盛り込んだ。この準備書の内容に対して環境大臣が5月23日付で意見書を提出したことにより、最終段階の「環境影響評価書」の作成・審査に移る。

 この最終審査は期間が短くて済むため(届出から30日以内)、順調に進めば2013年内に工事が認可される見通しになった。ただし環境大臣の意見書の中で、鳥類の渡来の季節には風車の稼働を制限するなどの環境保全措置を再検討するように求められていて、さらなる事業の縮小が必要になる可能性もある。

 青森県内では日本海側でも、「津軽十三湖風力発電事業(仮称)」が同様に鳥類への影響を理由に建設予定地の変更を求められている。風力発電は太陽光発電に続く有望な再生可能エネルギーとして全国各地でプロジェクトが進行中だが、環境影響の問題は事業者にとって高いハードルになる。

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