飯舘村で10MWのメガソーラー、売電収入で復興進める自然エネルギー

14haの牧草地をメガソーラーに変える計画だ。総事業費が40億円に上るため、復興事業を支援する東光電気工事と特別目的会社(SPC)を設立し、SPCが運営する。

» 2013年06月25日 11時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 いいたてまでいな太陽光発電所の位置

 福島県飯舘村は村再生のためにメガソーラーを役立てる。出力10MWの「いいたてまでいな太陽光発電所」(図1)を2014年4月にも着工する予定だ。「までい」とは東北地方の方言で「丁寧に」「じっくりと」という意味。同発電所の年間発電量は約3000世帯に相当する。これは飯舘村の全世帯数の約2倍だ。

 今回のメガソーラーの総事業費は40億円と巨額だ。そこで東光電気工事と共同で特定目的会社(SPC)「いいたてまでいな太陽光発電」に出資、SPCが事業を運営する。飯舘村はSPCに4000万円を出資、東光電気工事もほぼ同額を出資する。

 東光電気工事は2013年6月19日、「平成24年度 再生可能エネルギー発電設備等導入促進支援対策事業(再生可能エネルギー発電設備等導入促進支援復興対策事業費補助金)」*1)に採択されており、補助金交付を受けられる。「補助金や(地域総合整備財団の)ふるさと融資、民間金融機関などから必要な資金を集める」(東光電気工事)。

図2 いいたてまでいな太陽光発電所の完成予想図。出典:東光電気工事

 建設予定地は飯舘村所有の牧草地14haである(図2)。20年契約でSPCが賃借を受ける。2013年7月から11月まで除染を実行、その後、着工し、2016年4月の運転開始を予定する。運転開始後は全量を固定価格買取制度(FIT)に従って東北電力に売電する。「今回のメガソーラーでの飯舘村の主な収入は、土地の賃借料ではなく、売電収入が占める」(東光電気工事)。

 同社は今回の事業を復興支援と位置付けている。いいたてまでいな太陽光発電所の他に、宮城県石巻市と岩手県洋野町でもメガソーラーを先行しており、今回は3件目に当たる。先行する2件はSPCを設立済みであり、工事の初期段階にある。2014年3月に洋野町に10MWの発電所が、2014年4月には石巻市に10MWの施設が完成する予定だ。なお、いずれも再生可能エネルギー発電設備等導入促進支援復興対策事業費補助金となっている。

*1) 東日本大震災の「特定被災区域」に設置する再生可能エネルギー発電設備とそれに付帯する蓄電池や送電線を対象とする補助金である。太陽光以外にも風力や小水力、地熱、バイナリー発電などを進める企業が交付対象として決まった。

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